人類が子どもを産まなくなったら何年で絶滅?ビンガムトン大学研究が示す衝撃の未来予測

人類が子どもを産まなくなったら何年で絶滅?ビンガムトン大学研究が示す衝撃の未来予測

ビンガムトン大学の人類学者マイケル・A・リトル氏は、人類が子どもを産むのを完全に停止した場合の影響を分析した。

リトル氏によると、ほとんどの人間は100歳を超えて生きないため、出生が停止すれば100年以内に人類は地球上から消滅する可能性が高い。しかし社会崩壊はより早く、70~80年以内に食料、水、医薬品の不足により文明が破綻すると予測される。現実的には、世界的大災害や感染症による不妊化がこのシナリオの引き金となり得る。

カート・ヴォネガットの小説『ガラパゴス』では感染症により生殖年齢の全員が不妊となる設定が描かれている。実際の出生率低下も深刻で、米国では2004年の410万人から2024年の360万人に減少した。韓国やインドなどの国々でも出生率が大幅に減少している。

リトル氏は、約4万年前に絶滅したネアンデルタール人の例を挙げ、より効果的な繁殖戦略を持つ種が生き残ると指摘した。

From: 文献リンクHow Long Would Humanity Survive if We Stopped Having Children? A Sobering Look

【編集部解説】

この記事は、ビンガムトン大学の人類学者マイケル・A・リトル氏による理論的分析を基にしていますが、実際の人口動態研究との整合性を確認する必要があります。

検証の結果、リトル氏の予測は他の研究機関の見解と概ね一致していることが判明しました。米国保健指標評価研究所(IHME)の研究でも、2050年までに204の国・地域のうち155で人口維持に必要な出生率を下回ると予測されており、リトル氏の懸念は決して杞憂ではありません。

特に注目すべきは、この問題が単なる仮想シナリオではなく、現実に進行中の現象だという点です。韓国では出生率が世界最低水準まで低下し、日本も2023年の中央年齢が49歳に達するなど、急速な高齢化が進んでいます。

しかし、記事で言及されている「70~80年での文明崩壊」という予測については、やや悲観的すぎる可能性があります。実際には、移民による人口補完や技術革新による労働力不足の解決など、複数の対応策が考えられるためです。

この問題の本質は、労働力不足による社会インフラの維持困難にあります。食料生産、医療、エネルギー供給といった基幹システムは、一定数の若年労働者なしには機能しません。AI・ロボティクスの発達により一部は自動化できるものの、完全な代替は困難でしょう。

興味深いのは、この現象が経済発展と密接に関連していることです。教育水準の向上、都市化の進展、女性の社会進出といった「進歩」の指標と出生率低下が逆相関の関係にあるのは、現代文明の根本的なジレンマを示しています。

長期的視点では、この問題は人類の生存戦略そのものを問い直すものです。ネアンデルタール人の絶滅例が示すように、繁殖戦略の失敗は種の存続に直結します。しかし同時に、これは人類が次の進化段階に向かう過渡期の現象とも解釈できるでしょう。

【用語解説】

合計特殊出生率
15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、一人の女性がその年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの数に相当する。2.07を上回れば人口増、下回れば人口減となる。

『ガラパゴス』
カート・ヴォネガットが1985年に発表したディストピア小説。感染症により生殖年齢の全員が不妊となる設定で、人類の進化と退化をテーマとした作品。

【参考リンク】

ビンガムトン大学(外部)
ニューヨーク州立大学システムの一部で、100カ国以上から留学生を受け入れる国際的な研究大学

【参考動画】

【参考記事】

If people stopped having babies, how long would it be before humans were all gone(外部)
マイケル・A・リトル教授による原著記事。人類が出産を停止した場合の社会崩壊プロセスを詳細に分析

What if we stopped having babies? Humanity could vanish within 100 years(外部)
タイムズ・オブ・インディア紙による記事。人類が出産を停止した場合の社会システム崩壊について解説

Shocking study reveals exactly how quickly humanity would go extinct(外部)
UNILADによる記事。若年労働力の不足が医療・食料供給システムに与える影響について分析

Galápagos by Kurt Vonnegut(外部)
EBSCOによるヴォネガット作品解説。感染症による不妊化をテーマとしたディストピア小説の分析

【編集部後記】

私たちが当たり前だと思っている「未来」は、実は極めて脆弱な前提の上に成り立っているのかもしれません。人口減少という現実を前に、皆さんはどのような未来を想像されますか?テクノロジーが労働力不足を補完できるのか、それとも根本的に社会システムを再設計する必要があるのか。この問題は遠い将来の話ではなく、私たちの生活に直結する課題です。ぜひSNSで、皆さんが考える「持続可能な未来」についてお聞かせください。一緒に考えていきましょう。

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