中国政府は2025年5月26日、国家オンラインID制度「サイバースペースID」の規則を正式承認した。同制度は2023年6月に設立された国家ネットワークアイデンティティ認証公共サービスプラットフォームが運営し、市民が単一のログオンで複数のオンラインサービスにアクセス可能となる。
2025年7月15日から新規則が施行される。2024年の試験運用開始以降、600万人がIDを申請・有効化し、専用アプリは1600万回ダウンロードされ、1250万件の認証を処理した。
中国のスマートフォンメーカーXiaomiは5月下旬、カスタムシステムオンチップXRING O1とXRING T1 4Gを発表した。XRING O1は第2世代3nmプロセスで製造され、190億個のトランジスタ、10コアCPU、16コアImmortalis-G925 GPU、44TOPSの6コアNPUを搭載する。
またパキスタン政府は5月下旬、ビットコインマイニングと人工知能インフラ向けに2000メガワットの電力配分を発表した。
台湾MediaTekのリック・ツァイCEOはComputex 2025で、2nmチップのテープアウトに近づいていると明らかにした。
NTTドコモは5月下旬、1999年のiMode開始以来提供してきたドコモ絵文字について、2025年6月下旬以降に発売する機種から標準絵文字に切り替え、ドコモ絵文字の搭載を終了すると発表した。
References:
China approves rules for national ‘online number’ ID scheme
【編集部解説】
検索結果を精査した結果、中国のサイバースペースID制度について重要な詳細が判明しました。同制度は2023年6月にプラットフォームが設立され、2024年から試験運用が開始されており、2025年7月15日から新規則が施行される予定です。
中国のデジタルID制度は、表面的にはプライバシー保護を謳っていますが、実質的には政府による市民のオンライン活動の一元管理システムです。現在600万人が利用しているこの制度は、個人の実名情報を含まない匿名化されたIDを使用しますが、政府は依然として実在の身元情報と紐付けて管理しています。
これは2017年から導入されたインターネット実名制の延長線上にある政策で、これまで民間企業が分散管理していた個人情報を政府が一元管理する仕組みに移行することを意味します。プライバシー保護という名目の下で、実際には監視体制の強化が図られているのが実情です。
Xiaomiのカスタムシリコン開発は、米中技術摩擦の激化を背景とした中国企業の半導体自給率向上戦略の一環です。XRING O1の技術仕様は、AppleのA17 Proチップと同等レベルに達しており、中国の半導体技術の急速な進歩を示しています。
パキスタンの2000MW電力配分は、エネルギー余剰国が新興テクノロジー分野で外貨獲得を目指す戦略です。ビットコインマイニングは電力集約的な産業であり、安価な電力を武器に暗号通貨市場への参入を図っています。
MediaTekの2nmチップ開発は、台湾の半導体産業がAppleやNvidiaに続く最先端プロセスノードへの挑戦を表しています。TSMCとの連携により、アジア太平洋地域の半導体技術競争力の維持を図っています。
NTTドコモの絵文字廃止は、1999年のiMode開始から26年続いた日本発のモバイル文化の終焉を意味します。グローバル標準への統一という流れの中で、日本独自の技術仕様が淘汰される象徴的な出来事といえるでしょう。
これらの動きは、アジア太平洋地域における技術主権の確立競争と、グローバル技術標準をめぐる地政学的な対立の激化を物語っています。
【用語解説】
サイバースペースID：
中国政府が発行するデジタル身分証明書。実名情報を含まない匿名化されたIDだが、政府は実在の身元情報と紐付けて管理している。
フェデレーテッドID制度：
一つのIDで複数のサービスにログインできる仕組み。
テープアウト：
半導体チップの設計が完了し、実際の製造工程に移る段階。建築でいえば設計図が完成し、実際の建設が始まる瞬間に相当する。
3nmプロセス：
半導体製造技術の微細化レベル。髪の毛の太さが約80,000nmなので、3nmは極めて微細な技術である。数値が小さいほど高性能・低消費電力を実現できる。
【参考リンク】
中国公安部公式サイト（外部）
サイバースペースID制度を主管する中国の警察機構。制度の詳細や規則について公表している。
MediaTek公式サイト（外部）
台湾の半導体設計会社。2nmチップ開発を発表し、AI機能の統合を進めている。
Xiaomi公式 楽天市場店（外部）
中国のスマートフォンメーカーXiaomiの日本公式オンラインストア。XRING O1搭載製品の販売が予定されている。
【参考動画】
【編集部後記】
今回のニュースを読んで、デジタル主権をめぐるアジアの競争激化を実感しました。中国の統一ID制度は表向きプライバシー保護を謳っていますが、実際は政府による一元管理システムです。皆さんは、利便性と引き換えに政府がデジタル活動を完全把握する社会をどう思われますか？また、Xiaomiの独自チップ開発やMediaTekの2nm技術は、日本の半導体産業にとって脅威となるでしょうか？アジアの技術覇権争いが激化する中、日本企業はどのような戦略で対抗すべきか、ぜひ皆さんのご意見をお聞かせください。
