三菱UFJ銀行「エムット」、OpenAI協業で次世代リテールAIサービス展開

三菱UFJ銀行「エムット」、OpenAI協業で次世代リテールAIサービス展開

2025年11月12日、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループの連結子会社である三菱UFJ銀行はOpenAI Group PBC(CEO サム・アルトマン)と戦略的コラボレーション契約を締結した。これにより、リテール領域での革新的な顧客体験の創出に向けた取り組みが開始される。

2024年10月以降、両社はChatGPT Enterpriseを全行員に利用する実証や製品仕様のアップデートを進めてきた。本契約により2026年1月以降、三菱UFJ銀行の全行員約3万5000人がChatGPT Enterpriseを日常業務で順次利用可能となり、社内文書作成、調査対応、顧客対応、分析業務等の効率化と高度化を図る。

MUFGは「AI-Nativeな企業」への変革とグループ全体のデジタル基盤強化を推進し、リテールブランド「エムット」もAI活用による新たな顧客体験の提供を目指す。

From: 文献リンク三菱UFJ銀行、OpenAIと戦略的なコラボレーションにかかる契約を締結

【編集部解説】

三菱UFJ銀行とOpenAIの戦略的パートナーシップは、単なる技術連携を超え、銀行業務の抜本的な変革と「AI-Nativeな企業」へのシフトを掲げています。今回の契約によって、国内の金融業界で大規模にAIが業務や顧客サービスへ浸透する先進事例となります。2026年から同行の全行員3万5000人がChatGPT Enterpriseを業務で活用できるようになり、日常的な文書作成や調査、顧客対応といった領域を効率化し、その分人が付加価値のある判断や企画、顧客との対話に注力できる環境が整います。

このプロジェクトには、生成AIなど最新モデルの活用だけでなく、専門的な社内教育やAIチャンピオン人材の育成も含まれています。アプリやリテールブランド「エムット」では、チャット形式で口座開設や家計管理、資産運用といった金融サービスを日常的に対話型で利用できる体験の実現を目指しています。

同様の生成AI戦略は米Morgan Stanleyでも並行して進行しており、日本のMUFGは国内初の事例として今後の銀行業界のモデルケースになる可能性があります。AI導入が進むことで、業務効率化や顧客体験向上という直接的成果に加え、金融規制やセキュリティ基準に対する新たな検討も必要になるでしょう。一方、AIによる分析や判断の精度・説明責任も重要となるため、MUFGは外部ベンチャーや専門人材との協働を通じ、社会的信頼の獲得と持続可能な進化を志向しています。

今回の協業は、日本の銀行DXと金融ユーザーの未来を切り拓く一歩であり、世界のAI金融事例と比較しても画期的な進展といえるでしょう。

【用語解説】

ChatGPT Enterprise
OpenAIによる企業向け生成AIチャットサービス。セキュリティ、運用管理機能に優れ、組織内の幅広い業務効率化や情報共有を支えるツール。

AIチャンピオン
AI活用の旗振り役となる社内専門人材。推進計画の立案や現場浸透、社内教育を担い、DX推進・組織変革に寄与する。

【参考リンク】

三菱UFJフィナンシャル・グループ(外部)
三菱UFJ銀行が所属する日本最大級の金融グループの公式ウェブサイト。

OpenAI(外部)
ChatGPTをはじめ次世代AI技術を開発する企業の公式サイト。

ChatGPT Enterprise(外部)
企業向けに強化されたAIチャットサービスの公式製品ページです。

エムット(外部)
三菱UFJ銀行が展開するリテール領域のサービスブランド公式サイトです。

【参考記事】

金融機関における生成AI活用戦略。アイディエーションで試すだけでは終わらせない、実用化へのロードマップ(外部)
金融機関が生成AIを導入する際の戦略や課題、リスク管理の重要性。実用化に向けた具体的なロードマップの必要性の提言。

金融業界(銀行・証券・保険)の生成AIの活用方法・メリット・事例を解説(外部)
従来の与信審査に加え、定性データも活用したリスク評価など、金融業界における生成AIの具体的な活用方法と導入事例の紹介。

【編集部後記】

日々進化するAIやデジタル技術が銀行の業務やサービスにどう影響するのか、皆さんもご自身の体験や知見と照らして考えてみませんか。AIが働き方や顧客体験の質を大きく変えつつある今、この取り組みが私たちの生活にどんな変化をもたらすのか、一緒に探求していけたらと思います。innovaTopiaでは、皆さんの声やリアルな疑問、気づきをこれからも積極的に受け止めていきたいと思っています。

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