NECは2025年11月17日、サイバー攻撃から国内外の拠点を包括的に守るインテリジェンス駆動型次世代サイバーセキュリティサービス「CyIOC」の提供を開始した。
今回発表されたのは国内およびグローバルに事業を展開する企業向けのサービスで、独自のインテリジェンスと同社開発の生成AI「cotomi」などを活用したAI技術を融合し、Cyber Intelligence & Operation Centerを司令塔とする。NECは新たなミッションとして「.JPを守る」を掲げ、サイバーセキュリティ事業を強化する狙いである。
第一弾製品は「CyIOC Cyber Security Protection Package」で、専任チームが監視・分析、防御、一次対処を支援する。月額300万円から提供し、2030年度に約400億円の売上目標を掲げている。グローバル4拠点で24時間365日監視・運用を行い、NIST SP800-171をベンチマークとした高水準のセキュリティ基準を採用する。
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NEC、サイバー攻撃から国内外の拠点を包括的に守るインテリジェンス駆動型次世代サイバーセキュリティサービスを提供開始
【編集部解説】
NECが2025年11月に提供を開始した「CyIOC」は、従来型のサイバーセキュリティサービスとは一線を画す、インテリジェンス駆動型かつ生成AI技術を実装した次世代モデルです。この大きな特徴は、NEC独自の脅威インテリジェンスと自社AI「cotomi」を組み合わせることで、サイバー攻撃の予兆把握と能動的(プロアクティブ)な防御を実現する点にあります。
たとえば、専任チームがダークウェブや各国の規制、世界的な攻撃トレンドからリアルタイムに脅威情報を収集・解析し、国内外の拠点を横断的に保護します。これは従来の受動的監視だけでは困難だった未知の攻撃兆候の発見も可能にし、企業資産への被害最小化や報告支援にも資します。さらに、APAC・EU・USなど国外にもCyber Intelligence & Operation Centerを配備し、24時間365日の監視体制でグローバルガバナンスを強化しています。
AI技術は分析・一次対処などの業務自動化にも活用され、人的対応の負担軽減や検知から情報共有までのスピードアップに寄与します。また、本サービスで活用が予定されている「cotomi」はNECが開発した国産AIであり、業種別脅威分析やリスク算定を行います。これは、基盤となるAIに国産技術を求める企業にとって安心材料の一つとなる可能性があります。
料金体系は月額300万円からで、2030年度には約400億円の売上を目指している点も注目されます。今後はAIエージェントによるリスクアセスメント機能の拡充や、セキュリティインシデントへの自動応答率向上など、より高度なサービス展開が予定されています。
この「CyIOC」によって、企業は複雑化する国際的な法規制やサプライチェーン攻撃にも柔軟に対応でき、サイバーレジリエンス強化という社会的課題と経営リスク低減の両立が進みます。NECの「.JPを守る」というミッションのもと、グローバル基準で見ても最先端のセキュリティ基盤形成が期待されます。
【用語解説】
インテリジェンス駆動型
脅威情報や攻撃パターンなどの「インテリジェンス」を活用した防御アプローチ
Managed Security Service(MSS)
外部専門事業者が顧客に代わり24時間体制でセキュリティ監視・運用・対応を提供
NIST SP800-171
米国国立標準技術研究所が定めた情報保護規格・指針
サイバーレジリエンス
サイバー攻撃発生時でも事業を止めないための耐性・回復力
【参考リンク】
NEC サイバーセキュリティ事業公式サイト(外部)
NECが提供するサイバー攻撃対策やセキュリティサービス全体の概要を確認できる公式ページ。
CyIOC製品・サービス詳細サイト(外部)
CyIOCの機能、導入メリット、技術特長や導入事例などを詳しく紹介している公式ページ。
NIST Special Publication 800-171(外部)
米国政府や関連企業が情報保護のために参照するセキュリティ基準の公式ページ。
cotomi(NEC開発生成AI)(外部)
NECが開発した生成AI「cotomi」の概要や特徴、ビジネス用途の活用例が掲載されているページ。
【参考記事】
NEC launches CyIOC, a next-gen AI security platform(外部)
NECの新型AIセキュリティプラットフォームCyIOCの導入背景、グローバル活用、cotomiによるリスク評価などを詳細解説。
NEC CyIOC Platform Expands Global Security Capabilities.(外部)
CyIOCのグローバル拠点展開や24時間監視、NIST準拠の高度運用、業界別脅威分析などを各国事例付きで紹介。
【編集部後記】
サイバー攻撃が高度化し、被害件数や被害額が過去最多を記録するなか、NECは「CyIOC」によってAIや独自インテリジェンスを駆使した次世代の守り方を打ち出しました。みなさんが日々使うサービスや仕事の裏側でも、こうした最前線の技術が私たちを支えています。
「.JPを守る」という言葉通り、ビジネスだけでなく社会全体の安心にもつながる動きです。みなさんは、企業や自分自身が日常生活でどんなサイバーリスクにさらされていると思いますか?私も一緒に考えていきたいです。

