VS Code 1.107、マルチエージェント・オーケストレーション導入で複数AIの協調作業が可能に

VS Code 1.107、マルチエージェント・オーケストレーション導入で複数AIの協調作業が可能に

Microsoftは2025年12月10日、Visual Studio Code バージョン1.107をリリースした。今回の最大の特徴はマルチエージェント・オーケストレーションの導入で、GitHub Copilotとカスタムエージェントを組み合わせて開発を並列化できる。Agent HQと呼ばれる統合管理機能により、すべてのエージェントを一元管理し、タスク間での連携が可能になった。バックグラウンドエージェントは隔離されたワークスペースで実行され、複数のタスクを同時処理できる。Gitワークツリーのサポートにより、複数のバックグラウンドエージェントが同じファイルを変更する際の競合を回避できるようになった。組織レベルでのカスタムエージェント共有機能が実験的に追加され、GitHub組織全体でエージェントを配布可能になった。また、MCP仕様2025-11-25への対応、TypeScript 7.0プレビューのサポート強化、言語モデル管理用の専用エディターの追加など、多数の機能強化が行われた。

From: 文献リンクNovember 2025 (version 1.107) – Visual Studio Code

【編集部解説】

今回のアップデートは、開発環境におけるAIエージェントの使い方を根本的に変える可能性を秘めています。従来、GitHub Copilotは単一のアシスタントとして機能していましたが、バージョン1.107では複数のエージェントが協調して作業する「オーケストレーション」という概念が導入されました。

この変化の本質は、開発タスクを適切なエージェントに委譲できる点にあります。例えば、アイデアの検討段階ではローカルエージェントと対話的に作業し、実装方針が固まったらバックグラウンドエージェントに引き継ぐといった使い分けが可能になりました。これにより、開発者は複数のタスクを並行して進められます。

特に注目すべきは、Gitワークツリーを使った分離機能です。複数のバックグラウンドエージェントが同時に動作しても、それぞれ独立したフォルダーで作業するため、ファイルの競合が発生しません。これは実務における大きな障壁を取り除く改善と言えるでしょう。

組織レベルでのカスタムエージェント共有も重要な進展です。これまで個人やワークスペース単位でしか定義できなかったエージェントを、GitHub組織全体で配布できるようになりました。企業のコーディング規約やベストプラクティスを反映したエージェントを、チーム全体で統一的に利用できる道が開かれたことになります。

一方で、実験的機能が多く含まれている点には注意が必要です。サブエージェントやClaudeスキルの再利用など、魅力的な機能の多くはまだプレビュー段階にあります。本番環境での利用には慎重な検証が求められるでしょう。

【用語解説】

マルチエージェント・オーケストレーション
複数のAIエージェントが協調して作業を進める仕組み。各エージェントが異なる役割や特性を持ち、タスクに応じて適切なエージェントに作業を委譲できる。開発の並列化と効率化を実現する。

バックグラウンドエージェント
開発者がVS Codeで他の作業をしている間、バックグラウンドで自律的にコーディングタスクを実行するエージェント。以前はCLIエージェントと呼ばれていた。

Gitワークツリー
単一のGitリポジトリから複数の作業ディレクトリを作成できる機能。異なるブランチやコミットを同時に扱え、ファイルの競合を防ぎながら並行作業が可能になる。

カスタムエージェント
開発者や組織が独自に定義できるAIエージェント。特定のタスクやドメインに特化した動作をするようペルソナや動作パターンをカスタマイズできる。

サブエージェント
メインのエージェントから委譲された特定タスクを実行する補助的なエージェント。独自のコンテキストウィンドウを持ち、メインの会話から独立して動作する。

MCP(Model Context Protocol)
AIモデルがアプリケーションやサービスと安全にデータをやり取りするための標準プロトコル。外部ツールやリソースへのアクセスを標準化する。

BYOK(Bring Your Own Key)
ユーザーが自身で取得したAPIキーを持ち込んで、サードパーティのAIモデルを利用する方式。GitHub Copilot以外のモデルプロバイダーも使用できる。

エントラID(Entra ID)
Microsoftの認証・アクセス管理サービス。旧称Azure Active Directory。企業環境でのシングルサインオンやセキュリティ管理を提供する。

【参考リンク】

Visual Studio Code 公式サイト(外部)
Microsoftが提供する無料のオープンソースコードエディター。拡張機能により多様な開発環境に対応する。

Visual Studio Code v1.107 リリースノート(外部)
今回のアップデート内容を詳細に解説した公式ドキュメント。各機能の使い方やスクリーンショット、設定方法が記載されている。

GitHub Copilot(外部)
GitHubが提供するAI駆動のコーディングアシスタント。コード補完や説明生成、テスト作成などを支援する。

GitHub カスタムエージェント ドキュメント(外部)
組織レベルでカスタムエージェントを作成する方法を解説した公式ガイド。エージェントの定義方法や設定オプションを説明。

TypeScript 公式サイト(外部)
Microsoftが開発するJavaScriptのスーパーセット言語。バージョン7.0ではネイティブコードで完全に書き直されている。

MCP(Model Context Protocol)公式サイト(外部)
AIモデルとアプリケーション間のデータ交換を標準化するオープンプロトコル。仕様変更履歴や実装例が公開されている。

【参考記事】

Visual Studio Code adds multi-agent orchestration – InfoWorld(外部)
VS Code 1.107のマルチエージェント機能について、Agent HQによる統合管理やバックグラウンドエージェントの動作を解説している。

VS Code 1.107: Multi-Agent Orchestration and AI Tools Redefine Developer Productivity(外部)
開発者の生産性向上という観点から、複数エージェントの並列実行やカスタムエージェントの組織レベル共有が開発ワークフローに与える影響を分析している。

【編集部後記】

開発環境にAIが入り込むことで、私たちの働き方はどこまで変わっていくのでしょうか。今回のアップデートは、単なる機能追加ではなく、「複数のAIと協働する」という新しい働き方の提案だと感じています。ローカルで対話しながらアイデアを練り、バックグラウンドで実装を進める——こうした使い分けは、デザインツールでのレイヤー管理にも似た感覚かもしれません。みなさんは、どんなタスクをエージェントに任せたいと思いますか?また、組織全体でAIの使い方を標準化することに、どのような可能性や課題を感じるでしょうか。ぜひ、みなさんの現場での気づきや期待を聞かせてください。

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