富士通「FMV AI Plus+」月額1,100円でAI使い放題、日本初オールインワンサブスク開始

富士通「FMV AI Plus+」月額1,100円でAI使い放題、日本初オールインワンサブスク開始

富士通クライアントコンピューティング株式会社は、株式会社ビットランドと協業し、オールインワン型AIサブスクリプションサービス「FMV AI Plus+」を2026年1月21日より提供開始する。本サービスは文章・画像・音声など多様なAI機能をワンストップで利用できる。

FCCLは事前にFMVユーザー5,721名と他社ユーザー4,452名の計10,173名を対象にアンケート調査を実施し、AIに興味はあるが使っていないユーザーが多いこと、生活改善のニーズが中心であること、初心者向けUX改善が重要であることを確認した。サービスは300以上のユースケースを用意し、3クリックで目的の機能にたどり着ける設計となっている。料金はFMVプレミアムサービス会員限定価格が月額1,100円、My Cloudアカウント登録者が月額1,980円である。動画とAI Talkは2026年2月下旬よりサービス開始予定だ。

From: 文献リンク日本初 オールインワンAIサブスクサービス「FMV AI Plus+」開始

【編集部解説】

富士通クライアントコンピューティングによる「FMV AI Plus+」の発表は、日本のAI利用における重要な転換点を示しています。10,173名を対象とした大規模な調査で明らかになった「AIに興味はあるが使っていない」という層の存在は、AI普及における最大の課題を浮き彫りにしました。

この課題の核心は、プロンプトエンジニアリングという新たなスキルの壁にあります。ChatGPT、Midjourney、RunwayといったAIツールは強力ですが、適切な指示(プロンプト)を書けなければ望む結果を得られません。FCCLはこの「プロンプトの壁」に着目し、300以上のテンプレートを用意することで解決を図っています。

注目すべきは、ビットランドとの協業により実現した統合プラットフォームの構造です。ビットランドは複数のAIモデル(ChatGPT、Claude、Gemini、Leonardo AI、Runway、ElevenLabsなど)をAPI経由で統合し、日本語UIでラッピングしている企業です。本家ビットランドのビギナープランは月額980円(1,000クレジット制限あり)、スタータープランは月額3,980円(5,000クレジット)ですが、FMV AI Plus+はプレミアム会員で月額1,100円、一般登録者で月額1,980円で「使い放題」を謳っています。

ただし「使い放題」には重要な注釈があります。ベストエフォート型での提供であり、完全な無制限ではなく、利用状況に応じて制限がかかる可能性があります。また、利用できるAIモデルのバージョンが最新ではない場合があり、バージョン指定もできません。最新モデルを使いたいヘビーユーザーには物足りない可能性がありますが、「AIを使ってみたい」初心者層には十分な環境といえるでしょう。

市場環境としては、日本のAI市場は2024年に1兆3,412億円(前年比56.5%増)となり、2029年には4兆1,873億円への拡大が予測されています。世界の生成AI市場も2024年の361億ドルから2030年には3,561億ドルへと約10倍の成長が見込まれており、AIサブスクリプション市場は急速に拡大しています。

PCメーカーがAIサブスクリプション事業に参入する意義は大きいです。ハードウェアとソフトウェアの統合により、FMVユーザーはPCとAIサービスをシームレスに利用できます。さらに「FMV訪問サポート」という既存のサポート体制を活用することで、デジタルに不慣れな層へのアプローチも可能になります。これはPurelyデジタルなサービスでは実現困難な強みです。

一方で、潜在的なリスクも存在します。複数のAIモデルを統合したプラットフォームは、各AIプロバイダーの利用規約や価格変更、サービス終了の影響を受けやすい構造です。2026年に現在の料金体系を長期的に維持できるかは不透明です。

また、オールインワンの便利さは、逆説的に特定のAIツールを深く理解する機会を奪う可能性もあります。ユーザーは「どのAIを使っているか」を意識せずに利用できますが、それはAIリテラシーの向上には必ずしも繋がりません。

それでも、AIの民主化という観点から見れば、このサービスの意義は明確です。FCCLの調査が示した「興味はあるが使っていない」層を、実際の利用者へと転換させる触媒となる可能性を秘めています。AI活用の第一歩を踏み出すためのハードルを大幅に下げることで、日本のAI利用率向上に貢献することが期待されます。

【用語解説】

プロンプトエンジニアリング
AIに対して適切な指示(プロンプト)を与え、望む結果を得るための技術や手法。効果的なプロンプトの作成には経験と知識が必要で、AI初心者にとって大きな障壁となっている。

オールインワン型AIサブスクリプション
複数のAI機能(文章生成、画像生成、音声生成など)を一つのプラットフォームで統合し、月額定額制で利用できるサービス形態。個別にAIサービスを契約するよりもコストと管理の負担を軽減できる。

API(Application Programming Interface)
異なるソフトウェア同士を連携させるための仕組み。ビットランドは複数のAIサービスのAPIを利用して、一つのプラットフォームで様々なAIモデルを提供している。

ベストエフォート型
サービス提供者が最大限の努力をするが、品質や速度を保証しない提供形態。利用状況によっては制限がかかる可能性があり、完全な無制限サービスではない。

UI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)
UIはユーザーが操作する画面や要素の設計、UXは製品やサービスを通じて得られる総合的な体験を指す。FCCLは初心者でも直感的に操作できるUI/UXを重視している。

ワンストップ
複数のサービスや機能を一箇所で完結して利用できること。FMV AI Plus+では文章、画像、音声などの多様なAI機能を一つのプラットフォームで利用可能。

AIリテラシー
AIの仕組みや活用方法を理解し、適切に利用できる能力。AI時代において重要なスキルとされているが、日本では普及が課題となっている。

ユースケース
製品やサービスの具体的な利用場面や使用例。FMV AI Plus+は300以上のユースケースを用意し、ユーザーが目的に応じて適切な機能を選べるようにしている。

【参考リンク】

FMV AI Plus+ 公式サイト(外部)
富士通のオールインワンAIサブスク公式ページ。料金プラン、機能詳細、キャンペーン情報を掲載。

株式会社ビットランド(外部)
FMV AI Plus+の協業パートナー。複数のAI技術を統合したプラットフォームを開発・提供する日本企業。

富士通クライアントコンピューティング(FCCL)(外部)
FMVブランドのPC製造・販売企業。国内個人向けPC市場トップシェア、島根富士通工場で国内生産。

OpenAI ChatGPT(外部)
OpenAIが開発した対話型AI。FMV AI Plus+のプラットフォームで利用可能な文章生成AIモデルの一つ。

Anthropic Claude(外部)
Anthropicが開発した大規模言語モデル。高度な推論能力と長文処理に優れたAIモデル。

Google Gemini(外部)
Googleが開発したマルチモーダルAIモデル。テキスト、画像、音声など多様な入力に対応。

Microsoft Copilot(外部)
MicrosoftがWindows 11やOffice製品に統合したAIアシスタント機能。

【参考記事】

富士通、スナドラ搭載Copilot+ PCや多機能AIサブスク発表。AI利用の第一歩に – PC Watch(外部)
FCCLによる記者会見の詳細レポート。FMV AI Plus+のUI設計、料金体系、ビットランドとの協業内容を報じる。

FCCLが描くAI体験、PC「FMV」2026春モデルと新サービス「FMV AI Plus+」を発表 – BCN+R(外部)
FCCLが実施したユーザー調査の結果を中心に報道。心理的ハードルを下げるUX改善の重要性を指摘。

3兆円市場へ……AIエージェント116サービス網羅、”カオスマップ”が示す最新勢力図 – SB bit(外部)
日本のAIエージェント市場が2030年までに約3兆5,690億円規模へ拡大する見通しを示す調査データ。

総務省|令和7年版 情報通信白書|市場概況(外部)
日本のAIシステム市場が2024年に1兆3,412億円、2029年に4兆1,873億円へ成長する予測を提示。

ビットランドAIとは?特徴・活用事例・今後の展望 | ainow(外部)
ビットランドAIの技術的な仕組みを詳細に解説。複数のAIモデルをAPI経由で統合する構造を説明。

富士通がなんとAIサービスを開始。2026年春モデルPCも発表 – the比較(外部)
ビットランドとの料金比較を提示。FMV AI Plus+のコストパフォーマンスの高さを指摘している。

日本のサブスクビジネスの市場規模は?最新情報を紹介 – Stripe(外部)
日本のサブスクリプション市場規模が2023年度に1兆1,490億円、2019年度の1.6倍に拡大したデータ。



【編集部後記】

みなさんは「AIを使ってみたいけれど、何から始めればいいかわからない」と感じたことはありませんか。FCCLの調査が示した「興味はあるが使っていない」層の存在は、多くの方が抱える率直な気持ちを映し出しているように思います。プロンプトをどう書けばいいのか、どのAIサービスを選べばいいのか——その迷いは決して特別なものではありません。

今回のFMV AI Plus+のようなサービスが、AI活用への第一歩になり得るのか。それとも、個別のAIツールを深く学ぶ方が結果的に有益なのか。みなさんはどのようにお考えでしょうか。innovaTopia編集部としても、AI民主化の行方を皆さんと一緒に見守っていきたいと思います。

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