中国IPv6ユーザー8億超え、Aristaが10億ドル投資、Atlassianが150人解雇

中国IPv6ユーザー8億超え、Aristaが10億ドル投資、Atlassianが150人解雇

中国のサイバースペース管理局が8月1日に発表したデータによると、2025年6月時点で中国には8億3400万人のアクティブIPv6ユーザーが存在し、全インターネット利用者の75.29%を占めている。IPv6トラフィックは国内ネットワーク全体の31.12%で、モバイルネットワークでは66%、固定回線ネットワークでは28.32%を占める。後者は2024年の21.21%から7ポイント以上改善した。

オーストラリアのソフトウェア企業Atlassianは7月30日、CEO Mike Cannon-Brookesが動画で顧客サービス部門の150人の解雇を発表した。対象者への通知は動画配信から15分後に行われ、プラットフォーム改善により顧客サポート需要が減少したことが理由とされる。

ネットワーク機器企業Aristaは7月30日、インドでの製造拠点拡大に10億ドルを投資すると発表した。高性能データセンタースイッチやエンタープライズアクセスポイントの現地製造を拡大し、重要部品の現地調達を強化する。

ニュージーランドのInternetNZの理事選挙が7月29日に実施され、言論の自由連合CEOのJonathan Aylingと映画制作者Dylan Reeveが当選した。結果は7月31日の年次総会で発表された。

オーストラリアのジェームズクック大学は7月31日、新種の竹節虫「Acrophylla alta」の発見を発表した。長さ約40cm、重さ44gで、オーストラリア最重量の昆虫とされる。クイーンズランド州北東部の熱帯雨林高地に生息する。

From:文献リンクChina’s IPv6 adoption takes a decent leap forward, especially on fixed networks

【編集部解説】

このニュースは、アジア太平洋地域で起きている複数の重要な技術動向を捉えており、特にインフラ近代化と企業再編という2つの大きなトレンドが見て取れます。

IPv6普及の加速とその意味

中国のIPv6普及率75.29%という数字は、世界的に見ても非常に高い水準です。IPv6は従来のIPv4の限界を解決する次世代プロトコルで、実質無限のIPアドレスを提供できます。特に注目すべきは固定回線での普及が前年比7ポイント改善している点で、これは5GやIoTデバイスの本格普及に向けた重要な基盤整備と言えるでしょう。

中国政府の国家戦略として進められているこの取り組みは、デジタル経済の競争力向上に直結しています。IPv6への移行により、より多くのデバイスがインターネットに直接接続でき、スマートシティやインダストリー4.0の実現が加速される見込みです。

企業のAI時代への適応

Atlassianの人員削減は、単なるコスト削減ではなく、AI技術の進歩による業務プロセスの変化を反映しています。同社が「AIによる代替ではない」と強調している一方で、共同創設者がAIによる業務変革を推進する発言をしているのは興味深い対比です。

これは多くのSaaS企業が直面する現実でもあります。自動化技術の進歩により、従来の人手に依存していた顧客サポート業務が効率化され、人材の役割が変化しているのです。

製造業のサプライチェーン再編

Aristaのインド投資拡大は、米中貿易摩擦や地政学的リスクを背景とした「チャイナ・プラス・ワン」戦略の一環と見られます。インドは豊富な技術人材と相対的に安価な製造コストを提供する一方で、英語圏市場へのアクセスも容易です。

この動きは、ネットワーク機器業界全体のサプライチェーン多様化を示しており、他の企業にも波及する可能性があります。特にAI・クラウド需要の急拡大により、ネットワーク機器の需要は今後も高まることが予想されます。

デジタルガバナンスの新潮流

ニュージーランドInternetNZの理事選挙結果は、インターネットガバナンスにおける言論の自由をめぐる議論の高まりを反映しています。ドメイン管理組織という技術的な機関においても、価値観の対立が表面化している現象は、世界各国で見られる傾向です。

これらの動向は、テクノロジーが単なる技術的進歩を超えて、社会制度や価値観にも影響を与えていることを示しています。今後、類似の議論が他国でも展開される可能性があります。

【用語解説】

IPv6
Internet Protocol version 6の略。従来のIPv4に比べて実質無限のIPアドレスを提供する次世代インターネットプロトコル。IoTデバイスの普及やスマートシティ構築において重要な基盤技術である。

サイバースペース管理局
中国政府のインターネット規制・政策を司る中央機関。ネットワーク安全法やデータセキュリティ法の執行を含む、デジタル空間の管理全般を担当する。

Make in India
2014年にインド政府が開始した製造業育成政策。外国企業による現地生産を促進し、雇用創出と技術移転を図る国家戦略プログラムである。

トップレベルドメイン
インターネットドメイン名の階層構造における最上位レベル。「.com」や「.jp」などが該当し、各国のドメイン管理組織が運営している。

竹節虫(ナナフシ)
昆虫綱ナナフシ目に属する昆虫の総称。枝や葉に擬態する能力に長け、世界各地の熱帯から温帯地域に約3,000種が分布している。

【参考リンク】

Atlassian(外部)
Jira、Confluence、Trelloなどのコラボレーションツールを提供するオーストラリア発のSaaS企業

Arista Networks(外部)
クラウドやデータセンター向けの高性能ネットワークスイッチを製造する米国企業

InternetNZ(外部)
ニュージーランドの.nzドメインを管理し、デジタル権利の擁護活動も行う非営利組織

James Cook University
(外部)熱帯生物学や海洋科学の研究で世界的に評価が高いオーストラリアの公立大学

【参考記事】

Atlassian boss Mike Cannon-Brookes axes 150 jobs via AI(外部)
Atlassianの人員削減について詳細に報じ、CEOの動画発表と従業員への影響を分析

Arista Networks Expands Manufacturing Footprint in India(外部)
Aristaのインド投資拡大について政府関係者のコメントを含む詳細報道記事


【編集部後記】

今回の記事は、IPv6の加速、AIが左右する業務再設計、インドへの製造投資、ドメイン管理を巡る自由の議論、そして豪州の巨大ナナフシまで、テクノロジーと社会の境界を映し出しています。
皆さんは身近なネット接続や働き方、サプライチェーンの行方にどんな変化を感じていますか?
ぜひSNSで現場の声や疑問を聞かせてください。それが次の取材のヒントになります。

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