Google新機能「Preferred Sources」|ニュース情報源をユーザーが選択可能に

Google新機能「Preferred Sources」|ニュース情報源をユーザーが選択可能に

Googleは2025年8月13日、米国とインドで「preferred sources」(優先ソース)機能の展開を開始した。

この機能により、ユーザーはデスクトップやスマートフォンで数クリックするだけで、検索結果のTop Storiesボックスに表示される優先ニュースソースを選択できる。

設定方法は2つある。1つ目は検索結果のTop Storiesボックスの右側にあるカードアイコンをクリックし、ダイアログボックスで希望するサイトを検索してチェックを入れる方法だ。2つ目は「https://www.google.com/preferences/source?q=[ドメイン名]」のURLに直接アクセスする方法である。

Top Storiesボックスはモバイルでは6つ以上のストーリーがカルーセル形式で、デスクトップでは4〜8つのストーリーがグリッド形式で表示される。優先ソース設定はTop Storiesボックスでのランキングのみに影響し、Google Newsタブなど他の結果セットには反映されない。

From: 文献リンクNo more fake news: Google now lets you prioritize El Reg, others in search results

【編集部解説】

今回Googleが導入した「Preferred Sources」機能は、単なる便利機能を超えて、情報生態系における重要な転換点を示しています。この機能の背景には、AI検索の台頭によってメディアの検索流入が減少している現状があります。

最も注目すべき点は、Googleがアルゴリズム主導の情報配信から、ユーザー主導のキュレーション方式へとパラダイムシフトを起こしたことでしょう。従来のGoogle検索では、アルゴリズムがニュースの優先度を決定していましたが、今回の機能により、ユーザー自身が信頼する情報源を選択できるようになりました。

技術的な仕組みについて詳しく説明すると、この機能は「Top Stories」セクションでのみ動作し、Google Newsタブや通常の検索結果には影響しません。また、Googleの公式発表によると「定期的に更新されないソースは利用できない場合がある」という制限があり、小規模メディアには技術的な障壁が存在します。

潜在的なリスクも無視できません。この機能により、ユーザーが自分の好みに偏ったメディアばかりを選択する「エコーチェンバー効果」が懸念されています。多様な視点に触れる機会が減少し、情報の偏りが助長される可能性があります。

一方で、フェイクニュース対策としての効果も期待されています。ユーザーが信頼できる情報源を自分で選別することで、情報の質的向上が見込まれます。特にインドでの展開は、多言語・多文化社会における情報流通の改善という観点から興味深い実験と言えるでしょう。また、メディア業界への影響は計り知れません。大手メディアにとっては読者との直接的な関係構築が重要になり、読者に「優先ソース」として選択してもらうためのマーケティング戦略が必要になります。

長期的には、この機能が他の地域や言語にも展開される可能性が高く、日本のメディア業界においても対応策を検討すべき時期に来ています。情報の民主化が進む一方で、質の高いジャーナリズムの価値がより一層問われる時代の到来を告げる機能といえるでしょう。

【用語解説】

Top Stories(トップストーリーズ)
Google検索結果に表示されるニュースウィジェットの名称。検索キーワードに関連した最新ニュースを表示し、モバイルではカルーセル形式で6つ以上、デスクトップではグリッド形式で4〜8つのストーリーが配置される。

エコーチェンバー効果
同じ意見や価値観を持つ人々の間だけで情報が共有され、異なる意見に触れる機会が減少し、既存の考えが強化される現象。Google Preferred Sources機能でユーザーが偏った情報源ばかりを選択する懸念がある。

アルゴリズム主導
AIや機械学習によってコンテンツの表示順序や内容を自動決定する仕組み。従来のGoogle検索では、このアルゴリズムがニュースの優先度を決めていた。

【参考リンク】

Google公式ブログ – Preferred Sources機能解説(外部)
Google本社による機能の正式発表。設定方法や背景について詳細に説明

The Register(ザ・レジスター)(外部)
英国の老舗ITメディア。企業向けテクノロジーニュースと分析に特化

Search Engine Journal(外部)
検索エンジン最適化とデジタルマーケティングの専門メディア

【参考記事】

Google Search Now Lets You Prioritize Preferred News Sources(外部)
PC Magによる機能の詳細解説とメディア業界への影響分析

Google Rolls Out ‘Preferred Sources’ For Top Stories In Search(外部)
SEO専門メディアによる機能の技術的解説と業界への示唆

This new Google feature will make searching a lot more personal(外部)
Fast Companyによるパーソナライゼーション観点からの分析

Explained: What Is Google’s New “Preferred Sources” Feature(外部)
NDTVによるインド市場での機能導入の意義と課題の分析

Google Launches Preferred Sources for Personalized News(外部)
Web Pro Newsによる米国・インド展開の戦略的背景解説

【編集部後記】

この機能、実際に使ってみたいと思いませんか?

私たちが日々触れる情報の質は、知らず知らずのうちに思考や判断に大きな影響を与えています。Googleの新機能は、情報をただ受け取るのではなく「選ぶ」という主体性を私たちに返してくれるかもしれません。その一方で、好きなメディアばかり選んでしまう危険性もありそうです。

皆さんなら、どんなニュースソースを優先表示に設定しますか?また、多様な視点を保つために、あえて異なる立場のメディアも含めるでしょうか?この機能が日本に上陸した時のことを想像しながら、改めて自分の情報収集スタイルを見直してみませんか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です