Dreame Cyber XとCyber10 Ultra登場|階段昇降&アーム搭載ロボット掃除機

Dreame Cyber XとCyber10 Ultra登場|階段昇降&アーム搭載ロボット掃除機

ロボット掃除機メーカーのDreameが階段昇降機能を持つ新しいロボット掃除機のコンセプトモデルを、Eufyがロボット掃除機を階層間で運搬するトランスポーターを発表した。

Dreameの「Cyber X」は、大きなトレッドを使って階段を登る機能を持つ。各コーナーのトレッドが水平から垂直に回転し、装置全体を角度まで持ち上げて階段を昇降する。Eufyの「MarsWalker」は2026年に発売予定で、Omni S2との互換性が確認されている。一方、Dreameの「Cyber X」はまだコンセプト段階で発売時期は未定である。

Dreameはアーム搭載型の「Cyber10 Ultra」も発表した。この製品は「Roborock Saros Z70」に対抗するもので、機械式アームによって物の拾い上げや靴下の仕分けが可能である。Cyber10 Ultraのアームは17オンスまでの物体を扱えるのに対し、Saros Z70は約10オンスが上限である。Cyber10 Ultraは2026年初頭の発売を予定している。

From: 文献リンクDreame’s New Stair Climbing and Arm-Equipped Robot Vacuums Are Aimed at Taking on Eufy and Roborock

【編集部解説】

今回のニュースで注目すべきは、ロボット掃除機業界がついに「階段昇降」という最後の砦に挑戦し始めたことです。これまで数十年にわたって続いてきた「ロボット掃除機は1フロアのみ」という制約を打破する技術革新が、複数のメーカーから同時期に発表されたのは偶然ではありません。

技術的な仕組みについて詳しく見ると、Dreameの「Cyber X」は最大25センチメートルの段差を登ることができ、毎秒0.2メートルの速度で階段を昇降します。この数値は一見遅く感じますが、安全性を最優先にした設計であることがわかります。特に注目すべきは、3重ブレーキ保護システムと3D視覚システムによる事前スキャン機能で、これらが転落事故を防ぐ重要な安全装置となっています。

一方、アーム搭載型の「Cyber10 Ultra」については、競合のRoborock Saros Z70との性能差が明確になりました。Cyber10 Ultraは17オンス(約480グラム)まで持ち上げ可能なのに対し、Saros Z70は10オンス(約280グラム)が限界です。この数値の差は実用性に大きく影響します。

しかし、先行するRoborock Saros Z70の実際のレビューを見ると、アーム機能の課題が浮き彫りになっています。物体認識の失敗、仕分けタスクの未完了、猫のおもちゃなどの認識困難といった問題が報告されており、技術的な完成度にはまだ改善の余地があることが示唆されています。

このような技術革新が家庭に与える影響は計り知れません。これまで複数階建ての住宅では、各階にロボット掃除機を配置するか、手動で運搬する必要がありましたが、自律的な階段昇降が実現すれば、1台で全フロアの清掃が可能になります。

ただし、潜在的なリスクも考慮すべきです。階段昇降中の転落事故、アーム機能による物の破損、プライバシーの問題(カメラによる家庭内監視)などが挙げられます。また、これらの高機能機種は従来品より高価格になることが予想され、普及には時間がかかる可能性があります。

長期的な視点では、この技術革新は単なる家電の進化を超えて、高齢化社会における介護支援ロボットの基盤技術としても注目されます。階段昇降とマニピュレーター(アーム)技術の組み合わせは、将来的により広範囲な家庭内作業を自動化する可能性を秘めているのです。

【用語解説】

IFA
ベルリンで毎年開催される世界最大級の家電・技術見本市の一つ。Internationale Funkausstellung(国際ラジオ・テレビ見本市)の略称で、最新のコンシューマー向け技術製品が発表される。

QuadTrack
Dreameが開発した4つのトレッド(キャタピラ)を使用した階段昇降システムの名称。各コーナーにトレッドを配置し、水平から垂直に回転することで階段を登る仕組みである。

バイオニックシステム
生物の動きや機能を模倣した技術システム。Dreameのロボット掃除機では、人間の腕の動きを再現したロボットアームなどに応用されている。

ToF(Time of Flight)センサー
レーザーや赤外線を照射し、反射して戻ってくるまでの時間を測定して距離や形状を把握する技術。ロボット掃除機の障害物回避や空間認識に使用される。

【参考リンク】

Eufy(Anker Innovations)(外部)
スマートホーム製品を手掛ける企業で、ロボット掃除機、セキュリティカメラ、スマート照明などを展開している。

【参考動画】

【参考記事】

Dreame introduces next-gen robotic vacuums at IFA 2025(外部)
Cyber Xが25cm段差まで登れること、Cyber10 Ultraのアームが500グラムまで持ち上げ可能で33cmまで伸びることを詳述。

Innovative Saugroboter mit putzendem Roboterarm und mehr(外部)
Cyber10 Ultraが500グラムまでの物体を持ち上げ可能でRoborockの競合機種より強力であることを確認。

IFA 2025: Dreame Unveils Stair-Climbing Robot Vacuum(外部)
Cyber Xが25cm段差を毎秒0.2メートルで昇降する詳細な性能仕様を報告。AI技術による段差の形状認識についても解説。

【編集部後記】

階段昇降やロボットアームという今回の技術進歩を見ていて、ふと疑問に思うことがあります。これらの機能、皆さんのご家庭で本当に必要でしょうか?従来のロボット掃除機でも「階段で止まる」「物を拾えない」といった課題はありましたが、それでも多くの方にとって十分便利でした。これらの新機能は確実にコストアップに繋がるはずですが、その価値は人それぞれ異なりそうです。

皆さんなら追加料金を払ってでも階段昇降機能が欲しいですか?それとも各階に1台ずつ配置する方が実用的だと感じられますか?皆さんはどのようにお考えでしょうか。ぜひご意見をお聞かせください。

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