韓国の国家情報資源サービス(NIRS)が運営するデータセンターで金曜夜に火災が発生し、647件の政府オンラインサービスがオフラインになった。技術者がリチウムイオンバッテリーを移設作業中に火災が発生し、384台のバッテリーに延焼した。
米連邦地裁のポール・L・フリードマン判事は、ドローンメーカーDJIが中国軍関連企業リストからの除外を求めた訴訟で同社の敗訴を言い渡した。判事はDJIの中国国家企業技術センターへの関与が中国の防衛産業基盤に貢献すると判断した。
インド準備銀行は2026年4月1日までにデジタル決済での2要素認証使用を義務化すると発表した。新規則はワンタイムパスワード(OTP)の使用を求めるが、特定の2FA形式は指定していない。
検閲対策組織GreatFire.orgが「世界で最も厳しい検閲環境に耐えられる」VPNサービスを開始した。4つの回避手法を使用し、100以上のサーバーに接続可能で、30日間の無料試用後は有料となる。
アジア太平洋ネットワークインフォメーションセンター(APNIC)は執行評議会メンバーの任期を2年から3年に延長する計画を発表した。
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Datacenter fire downs 647 South Korean government services
【編集部解説】
今回のニュースで最も注目すべきは、韓国政府のデジタルインフラの脆弱性が露呈した点です。647件もの政府サービスが単一のデータセンター火災で停止するという事態は、先進国としては深刻な問題といえるでしょう。
リチウムイオンバッテリーの移設作業中に意図せず発生した火災という点も重要です。データセンターでは無停電電源装置(UPS)用バッテリーの定期交換が必要ですが、適切な安全手順を踏まなければ今回のような大規模障害につながります。バッテリー384台に延焼したことからも、火災対策の不備が伺えます。
DJIの敗訴については、米中技術覇権争いの一環として捉える必要があります。中国国家企業技術センターへの関与が争点となりましたが、これは民間企業と軍事・安全保障の境界線がますます曖昧になっている現実を示しています。
インドの2FA義務化は、急速に拡大するデジタル決済市場での詐欺対策として理解できます。しかし、SMSによるOTP配布を許可している点は懸念材料です。SIMスワップ攻撃やSS7プロトコルの脆弱性により、SMS認証は既に時代遅れとされているためです。
GreatFire.orgのVPN提供開始は、検閲技術と回避技術のいたちごっこが新段階に入ったことを意味します。4つの異なる回避手法を組み合わせることで、従来のVPNでは突破困難だった高度な検閲システムへの対抗を狙っています。
これらの動向は、いずれもデジタル主権と技術安全保障が21世紀の重要課題であることを物語っています。
【用語解説】
国家情報資源サービス(NIRS)
韓国政府のIT基盤を統括する機関で、電子政府サービスの運営とインフラ管理を担当している。政府のデジタル化推進の中核組織である。
無停電電源装置(UPS)
Uninterruptible Power Supplyの略。停電や電圧変動が発生した際に、内蔵バッテリーから一定時間電力を供給し、サーバー等の機器を安全にシャットダウンさせたり、稼働を継続させたりするための装置。
【参考リンク】
VMware公式サイト(外部)
仮想化技術のリーディングカンパニー。VMware Cloud Foundationは統合プラットフォーム
DJI公式サイト(外部)
世界最大のドローンメーカーで消費者向けから業務用まで幅広い製品を展開
インド準備銀行(RBI)(外部)
インドの中央銀行でデジタル決済の急拡大を受けセキュリティ規制を強化
GreatFire.org(外部)
中国のインターネット検閲を監視・回避する非営利団体でVPN技術開発
APNIC公式サイト(外部)
アジア太平洋地域56経済圏のIPアドレス割り当てを管理する重要組織
【参考記事】
Government struggles to restore services after data center fire(外部)
韓国の主要英字新聞による、データセンター火災に関する詳細記事。
DJI Loses Its Lawsuit Against the Pentagon, Remains Designated a Chinese Military Company in US(外部)
写真・映像技術の専門メディアによる、DJIの訴訟敗訴に関する解説記事。
RBI issues directions for digital payment transaction authentication mechanism(外部)
インドの大手経済紙による、二要素認証義務化に関するインド準備銀行(RBI)の公式発表を報じた記事。
【編集部後記】
今回のニュースを見て、皆さんはどう感じられましたか?韓国のような先進国でも、たった一つのデータセンター火災で600以上の政府サービスが停止してしまう現実に、デジタル社会の脆弱性を改めて考えさせられます。
私たちの身の回りでも、クラウドサービスの障害で仕事が止まったり、決済アプリが使えなくなったりした経験はありませんか?また、VPNやセキュリティ対策について、どこまで真剣に向き合っているでしょうか。
テクノロジーが生活に深く浸透する今、単なる利便性だけでなく、その裏にあるリスクや仕組みについても一緒に考えていければと思います。皆さんのご意見やご体験も、ぜひお聞かせください。

