本稿は、DZoneに2026年4月9日付で掲載された、サティヤム・ニクラによるウェブサイト画像最適化についての分析記事を元にしている。
記事によると、現代のウェブサイトにおいて、画像はページ全体の容量の50〜70%を占める。また、3MBの画像は5G環境では1秒未満で読み込まれるが、3Gでは5秒以上、4Gでは最大8秒を要するという。
Googleは2021年半ばにLCP(Largest Contentful Paint)を検索ランキング指標として採用した。推奨フォーマットとしてWebPとAVIFが挙げられており、旧ブラウザや非対応環境を考慮する場合は JPEGやPNGへのフォールバック設計が求められる。
画像変換機能を持つCDNとしてImgix、Cloudinary、Fastlyが挙げられている。記事では、画像最適化を実践したチームではページサイズが20〜50%縮小したケースもあると紹介している。
From:
Why Image Optimization in Modern Applications Matters More Than You Think
【編集部解説】
本記事はDZoneに2026年4月9日に公開された、エンジニア・開発者向けの解説記事です。著者のサティヤム・ニクラは、現代のウェブアプリケーションにおける画像最適化の重要性を、パフォーマンス・コスト・SEOの三つの軸から論じています。
一点、数値の補足が必要です。記事中の「画像がページ全体の容量の50〜70%を占める」という主張について、HTTP Archiveの2025年版 Web Almanac では、ページ単体での容量は約50%ですが、ホームページ全体の中央値はデスクトップで約2.86MB、そのうち画像は約1,058KBで、全体の4割弱となります。2024年にはJavaScriptがリクエスト数で画像を初めて逆転したことも報告されており、記事の数値はやや過大な見積もりと言えます。ただし、画像が依然としてバイト数ベースで最大のリソースであるという主張の本質は変わりません。
LCPがGoogleの検索ランキング要素として正式に統合されたのは2021年6月のことで、Core Web Vitalsの一部としてPage Experienceシグナルに組み込まれました。なお2024年3月にはCore Web VitalsがアップデートされFID(First Input Delay)がINP(Interaction to Next Paint)に置き換えられており、2026年現在の三指標はLCP・INP・CLSです。記事がLCPを中心に論じている点は今も有効ですが、現在のCore Web Vitalsの全体像として把握しておく必要があります。
技術的な観点では、WebPとAVIFという二つのフォーマットの推奨が特に重要です。HTTP Archiveの2024年版メディアレポートでは、1ピクセルあたりのビット数(bpp)においてWebPが1.3bpp、AVIFが1.4bppであり、JPEGの2.0bpp・PNGの3.8bppを大きく下回ることが示されています。また同データによれば、AVIFの採用率は2022年比で約386%増と急拡大しており、WebPも34%増と普及が加速しています。フォーマットの選択だけで、目に見えるかたちのパフォーマンス改善が実現できる段階に来ています。
本記事の注目すべき視点として、CI/CDパイプラインへの画像最適化の自動組み込みを提言している点が挙げられます。これまで画像の圧縮・変換はリリース後の手作業として後回しにされがちでしたが、ビルドプロセスへの統合によって開発速度を落とさずに品質を担保できるという発想は、DevOps的アプローチの中でも実践的と言えます。
潜在的なリスクとして注意したいのは、CDNへの過度な依存です。Imgix・Cloudinary・Fastlyといったサービスは強力ですが、転送量に応じてコストが急増するケースがあります。また、AVIFはすべてのブラウザで完全対応しているわけではなく、フォールバック設計が不可欠です。自動化ツールの導入が、不適切な圧縮設定を見えにくくするリスクも見落とせません。
長期的な視点では、生成AIによるビジュアルコンテンツの増加が、画像最適化の重要性をさらに押し上げることが予想されます。HTTP Archiveのデータでは2025年のデスクトップ中央値ページサイズは2.9MBで前年比7.3%増という成長が続いており、画像最適化は「技術的な小作業」ではなく、ウェブインフラ戦略の中心的な関心事になっていくと考えられます。
【用語解説】
TTFB(Time to First Byte)
ユーザーがページをリクエストしてから、ブラウザがサーバーからの最初のデータを受信するまでの時間。サーバー応答速度の指標であり、この値が大きいとページ全体の読み込みが遅れる。
INP(Interaction to Next Paint)
ユーザーの操作(クリック・タップなど)に対して、ページが次の描画を完了するまでの応答時間を測る指標。2024年3月にFID(First Input Delay)に代わりCore Web Vitalsの正式指標となった。良好な基準値は200ミリ秒以下だ。
CI/CDパイプライン
「継続的インテグレーション(Continuous Integration)」と「継続的デリバリー(Continuous Delivery)」を組み合わせた開発・リリースの自動化プロセス。コードの変更を検知し、テスト・ビルド・デプロイまでを自動で実行する仕組みを指す。
bpp(bits per pixel)
画像1ピクセルあたりに使用されるビット数のこと。数値が低いほど、同等の品質をより少ないデータで表現できることを意味し、画像フォーマットの圧縮効率を比較する際に用いられる指標だ。
フォールバック
ある機能や仕様に対応していない環境で、代替の手段に自動的に切り替える仕組み。本記事ではWebP・AVIF非対応のブラウザにおいて、JPEGやPNGで画像を代替配信することを指す。
DevOps
「Development(開発)」と「Operations(運用)」を融合させた開発文化・手法。開発チームと運用チームの連携を強化し、リリースの高速化と品質の安定を両立させることを目的とする。
【参考リンク】
HTTP Archive|Web Almanac(外部)
毎年発行されるウェブ技術の年次レポート。ページ重量・画像フォーマット・パフォーマンス指標など、数百万サイトのデータを分析した統計資料だ。
Google|Core Web Vitals(コアウェブバイタル)(外部)
GoogleによるCore Web Vitalsの公式ドキュメント。LCP・INP・CLSの定義・基準値・計測ツールへの案内が掲載されている。
web.dev|LCP(Largest Contentful Paint)(外部)
LCPの定義・計測方法・最適化手法をGoogleが解説した公式技術ドキュメント。エンジニアが実装を進める際の一次情報として有用だ。
Imgix(外部)
画像のリサイズ・変換・最適化をAPIで提供するImage CDNサービス。URLパラメータで動的変換でき、デバイス別の最適配信が可能だ。
Cloudinary(外部)
画像・動画の変換・最適化・配信を一元管理するクラウドプラットフォーム。AI自動トリミングや次世代フォーマット変換機能を持つ。
Fastly(外部)
エッジクラウドプラットフォームを提供するCDNベンダー。高速なコンテンツ配信に加え、エッジでのリアルタイム画像変換機能も提供する。
【参考記事】
Page Weight | 2025 | The Web Almanac by HTTP Archive(外部)
2025年版ページ重量レポート。デスクトップ中央値2.9MB(前年比7.3%増)、画像リクエストの中央値はデスクトップ17件だ。
Media | 2024 | The Web Almanac by HTTP Archive(外部)
2024年版メディアレポート。WebP 1.3bpp・AVIF 1.4bppの圧縮効率と、AVIF採用2022年比386%増を掲載。
Median web page weight in 2025 | CaptainDNS(外部)
デスクトップ中央値2,652KB(約2.6MB)。画像が1,054KBでバイト数最大リソースだが、リクエスト数ではJSが逆転したと報告。
What Is Largest Contentful Paint (LCP) | Quattr(外部)
LCPが2021年6月にGoogleの検索ランキングへ正式統合された経緯と、PageSpeedスコアの25%を占める重要性を解説。
Page speed statistics | Latest data for 2025 | LinkQuest(外部)
HTTP Archiveデータをもとに、画像がページ重量の約3分の1を占め、デスクトップ中央値が2,652KBであることをまとめた統計ページ。
【編集部後記】
あなたが日々使っているサービスの裏側では、画像一枚の扱い方がユーザー体験を静かに左右しています。自分がよく訪れるサイトを、今度は「表示の速さ」という視点で眺めてみると、新しい発見があるかもしれません。開発に携わっている方であれば、今のプロジェクトで画像最適化はどの段階で議論されているでしょうか?ぜひ感じたことをSNSで共有してみてください。

