Palo Alto Networksは2025年10月28日にCortex Cloud 2.0を発表した。新製品はCNAPP機能の拡張、AIエージェントのワークフォース、クラウドコマンドセンター、パフォーマンス最適化されたCDRエージェントの搭載が特徴である。
Cortex AgentiXは12億件の実データで訓練された自律AIエージェントであり、クラウドリスクを調査・解決する。クラウド投資は2030年までに4.6倍になる見込みで、平均120日間リスクが解決されていないと発表された。Cortex Cloud 2.0は、運用の自動化、クラウド資産の可視化、リソース消費最大50%削減モード、アプリケーションセキュリティ管理などを含む。
Cortex Cloudは世界中で利用可能となり、全顧客には2026年前半に自動アップグレードが提供される。
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Palo Alto Networks Ushers In Autonomous AI Workforce for Cloud Security with Cortex Cloud 2.0
【編集部解説】
クラウドセキュリティ分野では、管理対象の膨大化やAI技術の発展により、従来の運用手法が限界を迎えています。Cortex Cloud 2.0は、自律型AIエージェント「Cortex AgentiX」により、定型的な対応から複雑な調査・リスク修正まで自動化することで、クラウド環境の安全性を新たな次元に引き上げています。AgentiXは12億件以上の実データから学習し、あらゆるワークフローを高速に処理します。
さらに、パフォーマンス最適化CDRエージェントによって、セキュリティ強度を落とすことなくリソース消費を最大50%削減し、継続的な監視や運用に適した保護を実現しています。統合されたクラウドコマンドセンターにより、資産やリスク情報の「見える化」と修正指示の一元管理も可能です。ASPM(アプリケーションセキュリティ管理)は、本番前に脆弱性対応できる仕組みであり、開発段階からセキュリティリスクを排除できます。
一方で、AIによる自動化が進むほど、エージェント自体の挙動管理や新たな攻撃手法(AIエージェントの誤作動や悪用)への対策も今後さらに重要になります。規制や監査面でAI導入に対するトレーサビリティや説明責任が求められるケースも増えていくでしょう。
長期的には、セキュリティ運用現場の自動化・効率化が一気に進展し、従来の運用フローやセキュリティ人材の役割にも変化をもたらします。AIを活用した企業の安全なイノベーション推進基盤として、Cortex Cloud 2.0の実装が普及することで、クラウドセキュリティの新たな標準モデルが形成される可能性があります。
【用語解説】
CNAPP
クラウドネイティブ環境の設定監査や権限管理、リスク監視などをまとめて担い、複雑な需要にも柔軟に対応できる統合的なセキュリティ基盤。
CDR
クラウドサービスの運用中に発生する異常や脅威をリアルタイムで検出、通知、封じ込められる最新のセキュリティ監視技術。
ASPM
アプリケーションセキュリティ態勢管理(Application Security Posture Management)。開発したコードや構成、CI/CDプロセス全体のセキュリティ品質を自動評価し、リリース前のリスクを迅速かつ低コストで修正できる仕組み。
【参考リンク】
Palo Alto Networks公式(外部)
世界的なサイバーセキュリティ企業であり、クラウド・ネットワーク・AIセキュリティ製品を幅広く提供している。
Cortex Cloud(外部)
企業向けの統合型クラウドセキュリティプラットフォームであり、最新のAIエージェント搭載版情報も閲覧できる。
【参考記事】
Palo Alto Networks Launches Cortex Cloud 2.0 with AI Agents(外部)
性能強化されたCDR、自律AIエージェントAgentiX、運用負荷削減、リソース消費50%減少など技術的な詳細に焦点を当てている記事。
Palo Alto Networks Unveils Cortex Cloud to Secure Enterprises from AI-Enabled Cyber Threats(外部)
CNAPP/Cortex Cloudの統合によるクラウド全体のリスク監視、ASPMで本番前修正可能となる点など企業ユーザー目線で解説。
Palo Alto Cortex AgentiX gives SOAR much-needed AI update(外部)
自律AIエージェントAgentiXがSOAR分野にもたらす影響や技術背景、今後の運用モデル変革への示唆が述べられている記事。
【編集部後記】
AIエージェントが日々のセキュリティ運用を進化させることで、従来感じていた課題や不安も変化しているのではないでしょうか。クラウドの自動化が進む中、皆さんはご自身のIT体験やプロジェクトの現場で、この技術にどんな期待や疑問を持っていますか。innovaTopiaでは、未来のテクノロジーや人の進化について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。ご意見やご感想をぜひお寄せください。

