LINEヤフー、URL入力だけで広告画像を自動生成する「URL画像生成」機能を提供開始

LINEヤフー、URL入力だけで広告画像を自動生成する「URL画像生成」機能を提供開始

LINEヤフー株式会社は2025年11月4日、ビジネス用クリエイティブツール「LINE Creative Lab」において、WebページのURLを入力すると遷移先の内容をもとに広告用画像を生成する機能「URL画像生成」の提供を開始した。本機能はビジネスIDを持つ広告主であれば無料で利用できる。WebページのURLを入力するだけで、テキストや画像などのページ内容をもとに生成AIが広告用の画像を自動で作成する。画像サイズは正方形、縦長、横長の3種類、画像スタイルは写真、デジタルアート、アートのカテゴリから13種類を選択可能である。AIが利用したプロンプト内容を広告主側で確認・修正することも可能である。生成した画像はLINE広告、LINE公式アカウント、Yahoo!広告ディスプレイ広告と連携している。本機能はGoogle LLCのGemini API及びOpenAIのAPIを使用している。画像生成AI機能の利用は1アカウントにつき1カ月最大30回までである。

From: 文献リンクLINE Creative Lab、URLを入力するだけで広告用画像を自動作成できる生成AIを利用した新機能「URL画像生成」を提供開始

【編集部解説】

今回のLINEヤフーの発表は、広告クリエイティブ制作における大きな転換点を示しています。従来の「テキストを画像に変換」機能では、広告主が自らプロンプトを考え、言語化する必要がありましたが、「URL画像生成」はその手間すら省略しました。つまり、商品ページや企業サイトのURLさえあれば、AIが自動的にページ内容を解析し、広告クリエイティブを生成してくれるわけです。

この機能の技術的な基盤には、GoogleのGemini APIとOpenAIのAPIが採用されています。特にGeminiはマルチモーダルAIとして、テキスト、画像、音声、動画を横断的に理解できる能力を持っており、Webページ全体のコンテキストを把握した上でクリエイティブを生成できる点が強みです。単なる画像生成ツールではなく、Webページの情報を構造的に理解し、広告として最適な表現を自動提案する「コンテンツインテリジェンス」とも言える機能なのです。

広告業界では既に、AIによる動的な広告配信やハイパーパーソナライゼーションが進んでいます。Statistaの予測によれば、広告向け生成AIは2025年に470億ドル、2028年には1,070億ドル規模の市場になるとされています。LINEヤフーの今回の機能は、この大きな流れの中で「制作の民主化」を推進するものと言えるでしょう。

ただし、留意すべき点もあります。月間30回という利用制限は、大規模な広告運用を行う企業にとっては制約となる可能性があります。また、生成されたクリエイティブは広告審査を自動的に通過するわけではなく、広告掲載基準に準拠しているかは広告主の責任で確認する必要があります。さらに、個人情報を含むWebページや、スクレイピングが禁止されているサイトのURLは利用できないという法的・倫理的な配慮も明記されています。

長期的に見れば、この技術は広告クリエイティブの制作コストを劇的に下げ、中小企業やスタートアップにも本格的なビジュアル広告への参入機会を提供します。一方で、AIが生成した画像の均質化や、人間のクリエイターの役割がどう変化していくのかという課題も浮上してくるはずです。LINEヤフーが「AIエージェント化」を目指す中で、この機能は単なる効率化ツールではなく、広告制作の在り方そのものを問い直す試金石になるのではないでしょうか。

【用語解説】

生成AI(Generative AI)
テキスト、画像、音声、動画などのコンテンツを自動的に生成できる人工知能技術である。既存のデータから学習し、新しいオリジナルコンテンツを作り出すことができる。2025年時点で市場規模は378億9,000万ドルに達し、2034年には1兆50億7,000万ドルに成長すると予測されている。

マルチモーダルAI
テキスト、画像、音声、動画など複数の形式のデータを同時に理解・処理できるAI技術である。Gemini APIはこの技術を採用しており、Webページ全体のコンテキストを把握してクリエイティブを生成できる。

プロンプト
AIに対して指示を出すための文章や命令である。従来の画像生成では人間がプロンプトを考える必要があったが、URL画像生成機能ではAIがWebページから自動的にプロンプトを生成する。

ビジネスID
LINEヤフーが2025年6月30日から提供開始した法人向けサービスの共通ログインIDである。このIDを持つ広告主はLINE Creative Labの各種機能を無料で利用できる。

クリエイティブ
広告業界において、広告用の画像、動画、テキストなどの制作物を指す用語である。広告の効果を左右する重要な要素であり、ターゲット層に合わせた最適化が求められる。

【参考リンク】

LINE Creative Lab(公式サイト)(外部)
LINEヤフーが提供する無料の広告クリエイティブ作成ツール。300種類以上のテンプレートと生成AI機能を搭載し、LINE広告やYahoo!広告との連携が可能。

Gemini API(Google AI for Developers)(外部)
Google LLCが提供するマルチモーダル生成AIのAPI。テキスト、画像、PDF、動画、音声を含むプロンプトを処理でき、URL画像生成機能の技術基盤の一つ。

OpenAI API(外部)
OpenAIが提供する人工知能のAPI。開発者は高度な自然言語処理タスクのための大規模な学習データと強力なモデルにアクセスでき、URL画像生成機能に活用されている。

LINEヤフー株式会社(公式サイト)(外部)
LINEとヤフーが統合して誕生した企業。全サービスのAIエージェント化を目指すAIカンパニーとして、コミュニケーション、メディア、広告、eコマース事業を展開。

【参考記事】

Generative AI In Marketing Market | Industry Report, 2033(外部)
マーケティング分野の生成AI市場は2024年15億6,000万ドル、2033年に220億ドルへ。年平均成長率35.1%でスマートチャットボット開発に活用が進む。

Generative AI Market Size to Hit USD 1005.07 Bn By 2034(外部)
世界の生成AI市場は2025年378億ドル、2034年に1兆50億ドルへ。年平均成長率44.20%で拡大し、画像・動画変換技術が需要を牽引している。

AI Statistics In 2025: Key Trends And Usage Data(外部)
AI画像は毎日3,400万枚作成され累計150億枚以上。Adobe Fireflyは70億枚以上生成。従来写真の149年分を約1.5年で達成した規模。

【編集部後記】

URLを入力するだけで広告クリエイティブが生成される——この技術は、私たちが「広告をつくる」ことの意味を問い直すきっかけになるかもしれません。効率化やコスト削減は確かに魅力的ですが、AIが生成した画像の均質化や、創造性の制約といった課題も指摘されています。みなさんは、AI生成の広告と人の手によるクリエイティブ、どちらにより心を動かされるでしょうか。あるいは、両者が協働することで生まれる新しい表現の可能性に期待を寄せますか。この技術があなたの暮らしやビジネスにどんな影響をもたらすのか、ぜひ一緒に考えてみませんか。

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