Bitcoin急落中に1BTC追加購入——『金持ち父さん』キヨサキ氏が語る2つの理由

Bitcoin急落中に1BTC追加購入——『金持ち父さん』キヨサキ氏が語る2つの理由

『Rich Dad Poor Dad(金持ち父さん 貧乏父さん)』の著者ロバート・キヨサキは、2026年2月20日、Bitcoinの価格下落にもかかわらず約6万7000ドルで1 BTCを追加購入したとX上で明らかにした。購入理由として2点を挙げている。

第一に、米国の政府債務がドルを崩壊させ、連邦準備制度理事会(Federal Reserve)が数兆ドル規模の紙幣増刷を開始するという予測。第二に、Bitcoinの供給上限が2100万BTCに限られており、マイニングが完了に近づいている点である。

キヨサキは完了後、Bitcoinはゴールドを超えると述べた。同氏は2026年2月中にもBitcoin購入への意欲を繰り返し表明しており、6000ドルまで下落しても買い増すと発言している。ポートフォリオには現物のゴールド、シルバー、Ethereum、Bitcoinを保有しており、価格下落局面でも買い続ける方針を示している。

From: 文献リンクKiyosaki Buys Bitcoin at $67,000 — What Are His Reasons?

【編集部解説】

このニュースの背景には、Bitcoinが2025年10月に記録した史上最高値の約12万6000ドルから、わずか4カ月で約50%下落しているという市場環境があります。キヨサキ氏が購入した2月20日時点の約6万7000ドルという価格は、まさにその急落の渦中でした。実際、本稿執筆時点(2月24日)にはさらに下落し、約6万3500ドル付近で推移しています。

キヨサキ氏が挙げた購入理由の第一、「米国政府債務によるドル崩壊」については、確かにデータで裏づけられる側面があります。米国議会合同経済委員会によれば、2026年2月4日時点の米国総債務残高は38兆5600億ドルに達しており、前年比で2兆3500億ドル増、1日あたり約64億3000万ドルのペースで膨張し続けています。議会予算局(CBO)は2026年2月の見通しで、今後10年間の累積赤字を約24兆4000億ドルと予測し、利払い費用だけでもGDP比3.2%(2025年)から4.6%(2036年)へ急拡大する見込みを示しました。キヨサキ氏の警告が単なる感情論ではなく、財政データと一定程度整合している点は押さえておく必要があるでしょう。

ただし、「FRBが数兆ドルの偽ドルを刷る」という表現は大幅な単純化です。金融緩和(量的緩和)と文字どおりの「紙幣の印刷」は異なる概念であり、FRBの政策決定は雇用やインフレ率など複合的な指標に基づいて行われます。この点は冷静に区別する必要があります。

第二の理由であるBitcoinの供給上限についても補足が求められます。確かに2100万BTCのうち約95%がすでにマイニング済みで、残りは約100万〜130万BTC程度とされています。しかしキヨサキ氏の「マイニング完了が近づいている」という表現は、やや誤解を招きかねません。2024年4月の半減期でブロック報酬は3.125 BTCに減少しており、次回の半減期は2028年頃に予定されています。最後のBitcoinがマイニングされるのは2140年頃と推定されており、「完了間近」というよりは「新規供給が極めて緩慢になりつつある」という表現がより正確です。

読者の皆さんに知っておいていただきたいのは、キヨサキ氏の予測実績についてです。Finboldの分析によれば、2022年以降の同氏の市場予測のうち、実際に的中したのは約10%にとどまるとされています。2024年には「8月までにBitcoinは35万ドルに達する」と予測しましたが実現せず、2025年初頭にも「17万5000〜35万ドル」という目標を掲げていました。また、2025年11月には6000ドルで購入したBTCを約9万ドルで売却し225万ドルを得たうえで、「引き続きBitcoinに強気であり、キャッシュフローで買い戻す」と表明しています。実際、わずか3カ月後に今回の買い増しを実行しました。ただし、Finboldが指摘するように、ある週にBitcoinの過大評価を警告しながら翌週には買い増しを推奨するなど、発言の一貫性に疑問を呈する声も少なくありません。

一方で、マクロ経済の観点からは、キヨサキ氏に限らず「ハードアセットへのシフト」を唱える声は広がりを見せています。ビットコインETFからは5週連続で計38億ドルの資金が流出し、BlackRockのビットコインETFだけでも6日連続で6億840万ドルが引き出されたとの報道もあります。機関投資家の慎重姿勢が続く一方、個人投資家の一部は下落局面での買い増しに動いているという構図が見て取れます。

このニュースがinnovaTopiaの読者にとって意味するのは、特定の著名人の投資判断に追従すべきかどうかという問題ではありません。むしろ注目すべきは、Bitcoinという資産が「法定通貨に対するオルタナティブ」として議論される頻度が、財政悪化の進行とともに高まっているという構造的な変化そのものです。Bitcoinのプログラムされた希少性と、米国をはじめとする各国の拡張的財政の対比は、今後もデジタル資産を語るうえで避けられないテーマとなっていくでしょう。

【用語解説】

半減期(Halving)
Bitcoinのブロック報酬が約4年ごとに半分に減少する仕組み。新規発行量を段階的に抑制し、供給の希少性を高める設計。直近の第4回半減期は2024年4月に実施され、報酬は6.25 BTCから3.125 BTCに減少した。

ブロック報酬(Block Reward)
マイナー(採掘者)が新しいブロックをBlockchainに追加する際に受け取る報酬。現在は1ブロックあたり3.125 BTC。最終的にすべてのBitcoinがマイニングされた後は、取引手数料のみが報酬となる。

量的緩和(Quantitative Easing)
中央銀行が国債などの資産を大量に購入し、市場に資金を供給する金融政策。キヨサキ氏が「紙幣の増刷」と表現しているのは、主にこの政策を指していると考えられる。実際には物理的な紙幣の印刷とは異なるメカニズムである。

ビットコインETF(Bitcoin ETF)
Bitcoinの価格に連動する上場投資信託。2024年1月に米国で現物型が承認され、従来の証券口座からBitcoinへの投資が可能になった。機関投資家のアクセスを拡大した一方、資金流出が市場の売り圧力につながる局面も見られる。

Crypto Fear & Greed Index
暗号資産市場の投資家心理を0(極度の恐怖)から100(極度の貪欲)で数値化した指標。ボラティリティ、取引量、SNSの動向などをもとに算出される。2026年2月には10を下回る「極度の恐怖」を記録した。

議会予算局(CBO:Congressional Budget Office)
米国連邦議会に財政・経済分析を提供する超党派の機関。政策の費用推計や長期的な財政見通しを公表しており、本記事で引用した赤字予測の出典元である。

【参考リンク】

Bitcoin.org(外部)
Bitcoinの仕組み、ウォレット、技術仕様を網羅した公式情報サイト。ホワイトペーパーも閲覧可能。

U.S. Treasury Fiscal Data — Debt to the Penny(外部)
米国財務省が毎営業日更新する連邦債務残高データ。米国債務の実態を一次データで確認できる。

CBO — Budget and Economic Outlook(外部)
議会予算局の財政見通し・経済予測の公式ページ。2026年2月公表の最新ベースラインを閲覧可能。

CoinDesk — Bitcoin Price(外部)
暗号資産メディアCoinDeskが提供するBitcoinのリアルタイム価格・時価総額・流通量データ。

Robert Kiyosaki 公式X(旧Twitter)(外部)
キヨサキ氏が投資方針や市場予測を発信するSNSアカウント。今回の購入報告もここで公表された。

【参考記事】

National Debt Hits $38.56 Trillion, Increased $2.35 Trillion Year over Year(外部)
米国議会合同経済委員会の2026年2月月次債務報告。総債務38兆5600億ドル、利払い費用の急増を詳述。

CBO’s February 2026 Budget and Economic Outlook(外部)
CBO2026年2月見通しの分析。今後10年の累積赤字24兆4000億ドル、利払い費用GDP比4.6%への拡大を予測。

R. Kiyosaki predicts Bitcoin price for 2026(外部)
キヨサキ氏のBitcoin価格予測の経緯と実績を検証。2022年以降の予測的中率が約10%との分析を掲載。

‘Rich Dad Poor Dad’ Author Buys 1 Bitcoin at $67,000, Revealing 2 Reasons(外部)
U.Todayによる詳報。X投稿全文の引用と、2013年著書に基づく暴落予言への言及を含む。

Robert Kiyosaki Doubles Down on Bitcoin at $67,000, Citing Two Big Catalysts(外部)
Benzinga発の分析記事。マクロ経済文脈での購入判断の位置づけと、過去の100万ドル予測との関連を整理。

Bitcoin crash: Robert Kiyosaki sells his Bitcoins as market enters deep correction(外部)
2025年11月のBTC売却報道。6000ドルで購入し約9万ドルで売却、手術センター等への再投資計画を詳述。

Bitcoin’s mined supply crosses 95% of 21 million cap(外部)
The Blockによる供給データ報道。マイニング済み95%超、残り約105万BTC、最終マイニングは2140年頃。

【編集部後記】

「暴落しているが、買った」——キヨサキ氏のこの一文は、資産運用における永遠の問いを端的に突きつけています。下落局面で買い向かうのか、それとも嵐が過ぎるのを待つのか。

innovaTopia編集部として率直に申し上げれば、キヨサキ氏の発言をそのまま投資指針とすることはお勧めしません。予測的中率の低さ、発言の振れ幅、そしてSNSを通じた影響力行使という構造を踏まえると、同氏の言葉は「参考にすべき視点の一つ」として受け止めるのが適切です。

しかし、同氏が繰り返し指摘する米国財政の持続可能性への疑問そのものは、CBOのデータが裏づけるとおり、極めて現実的な問題提起です。38兆ドルを超える債務、年間2兆ドル超のペースで膨らむ赤字——これらは特定の思想や立場に関わらず、誰もが向き合うべき数字でしょう。

Bitcoinの2100万枚という供給上限が持つ意味は、こうした財政環境のなかでこそ鮮明になります。プログラムされた希少性と、拡張し続ける法定通貨の供給量。この対比をどう評価するかは、最終的には読者お一人おひとりの判断に委ねられます。大切なのは、誰かの声に流されるのではなく、自分自身のリスク許容度と時間軸に基づいて考えることではないでしょうか。

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