ロボットインターフェースが柔らかい触感を再現する技術を開発しました。この技術は、切皮刺激と運動感覚刺激の分離により、柔らかさの感覚を実現しています。開発されたSORI(Softness Rendering Interface)装置は、医療、宇宙探査、農業など様々な分野での応用が期待されています。
柔らかさの知覚は、皮膚の感覚と指関節の力の組み合わせによって成り立ち、指の形状や硬さによって個人差があります。研究者たちは、これらの要素を考慮し、指の形状に基づいて柔らかさの知覚を推定するパラメータを開発しました。SORI装置は、これらのパラメータを用いて、指の形状と接触面の特性に基づいて柔らかさを再現します。
SORIの応用としては、医療訓練やロボット手術のサポート、宇宙探査や深海探査での遠隔地からの柔らかい物体の触感の伝達、柔らかい果物や野菜の収穫などが挙げられます。SORIは触感をデジタルで伝える技術であり、ロボットの柔らかさセンサーとは異なります。
ニュース解説
エコール・ポリテクニーク・フェデラル・ド・ローザンヌ(EPFL)の研究チームが、様々な素材の柔らかさを再現できる触覚デバイス「SORI(Softness Rendering Interface)」を開発しました。この技術は、マシュマロから心臓の鼓動まで、幅広い素材の柔らかさを表現することが可能で、これまでロボティクスの分野で大きな課題とされてきた柔らかさの知覚を再現することに成功しました。
人間の柔らかさの知覚は、皮膚の感覚(切皮刺激)と指関節にかかる力の感覚(運動感覚刺激)の二つの要素によって成り立っています。SORIはこれら二つの要素を分離して扱うことで、実際の素材の柔らかさを忠実に再現することができます。この技術は、医療分野での訓練、ロボットによる手術のサポート、宇宙や深海探査、農業における柔らかい果物や野菜の収穫など、多岐にわたる応用が期待されています。
この技術の開発により、例えば医療分野では、医学生ががん腫瘍を感知する訓練や、ロボットを使用した手術での重要な感覚フィードバックの提供が可能になります。また、遠隔地からの柔らかい物体の触感を伝えることで、宇宙探査や深海探査においても新たな発見が期待できます。さらに、農業分野では、柔らかい果物や野菜を損傷することなく収穫することが可能になることで、生産性の向上に寄与することが予想されます。
しかし、この技術の導入には、個人の感覚の差異をどのように扱うか、また、高度な技術を用いた装置のコストやメンテナンスの問題など、解決すべき課題も存在します。また、デジタルで伝えられる「触感」のデータのセキュリティやプライバシーの保護も重要な懸念事項となります。
長期的には、この技術がさらに発展し、より多くの人々がリアルタイムで、または仮想現実(VR)環境内で、様々な物質の触感を経験できるようになることが期待されます。これにより、教育、エンターテイメント、さらにはコミュニケーションの方法に革新をもたらす可能性があります。また、触感情報のデジタル化により、遠隔医療や災害救助活動など、人の手が届かない場所での作業の質を向上させることも可能になるでしょう。
from Robotic interface masters a soft touch.