Hugging Faceは2024年7月29日、NVIDIAのNIMを活用した推論サービス「Inference Endpoints」を発表した。このサービスは、大規模言語モデル(LLM)の推論を簡単かつ高速に行うことを可能にする。
主な特徴は以下の通り:
- NVIDIAのNIM(NVIDIA Inference Microservices)を活用し、高速な推論を実現
- 複数のGPUにわたる並列処理により、推論速度を大幅に向上
- クラウドプロバイダーに依存せず、どのクラウド環境でも利用可能
- オープンソースのText Generation Inference(TGI)サーバーを使用
- 数千のモデルに対応し、カスタムモデルのデプロイも可能
このサービスにより、企業は自社のAIアプリケーションに高性能な推論機能を容易に組み込むことができる。Hugging Faceは、このサービスがAI開発者にとって「ゲームチェンジャー」になると期待している。
サービスは現在ベータ版で、一般提供は2024年第3四半期を予定している。価格は従量制で、使用したGPU時間に基づいて課金される。
from;Hugging Face offers inference as a service powered by Nvidia NIM
【編集部解説】
今回は、Hugging Faceが発表した新しい推論サービス「Inference Endpoints」についてお伝えします。
このサービスは、AIの世界に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。NVIDIAのNIM(NVIDIA Inference Microservices)を活用することで、大規模言語モデル(LLM)の推論を高速かつ効率的に行うことができるようになりました。
特に注目すべきは、複数のGPUにわたる並列処理により、推論速度が大幅に向上している点です。これにより、企業は自社のAIアプリケーションに高性能な推論機能を容易に組み込むことができるようになります。
また、このサービスがクラウドプロバイダーに依存せず、どのクラウド環境でも利用可能な点も重要です。これにより、企業は自社のインフラ環境に合わせて柔軟にサービスを導入できます。
オープンソースのText Generation Inference(TGI)サーバーを使用している点も、透明性と拡張性の観点から評価できるでしょう。さらに、数千のモデルに対応し、カスタムモデルのデプロイも可能なため、幅広いニーズに応えることができます。
一方で、このサービスの普及に伴い、AIの利用がさらに加速することが予想されます。これは、新たなビジネス機会の創出や効率化につながる反面、AIの倫理的な使用や、人間の役割の再定義といった課題も浮き彫りになる可能性があります。
Hugging Faceは、このサービスがAI開発者にとって「ゲームチェンジャー」になると期待していますが、その影響は開発者だけでなく、私たちの社会全体に及ぶ可能性があります。
現在ベータ版で提供されているこのサービスは、2024年第3四半期に一般提供される予定です。従量制の価格設定も、多くの企業にとって導入のハードルを下げる要因となるでしょう。
今後、このサービスがAI技術の民主化にどのような影響を与えるのか、そして私たちの生活やビジネスにどのような変革をもたらすのか、注目していく必要があります。
【用語解説】
- 推論(Inference):
AIモデルが学習した知識を使って、新しいデータに対して予測や判断を行うプロセスです。例えば、文章生成や画像認識などの実際の応用場面で使われます。
- NIM(NVIDIA Inference Microservices):
NVIDIAが開発した、AIの推論処理を高速化するためのソフトウェアツールキットです。GPUの性能を最大限に活用し、効率的な推論を可能にします。
- LLM(Large Language Model):
大規模言語モデルのことで、膨大なテキストデータを学習し、人間のような自然言語処理能力を持つAIモデルです。ChatGPTなどがこれに該当します。
【参考リンク】
- Hugging Face(外部):
AI技術のオープンソースコミュニティを運営し、多数のAIモデルやツールを提供しています。
- NVIDIA(外部):
GPUの開発・製造で知られる企業で、AI関連の技術開発も行っています。
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