【ダイジェスト】
M^0(エムゼロ)は、米国債に裏打ちされた安定した価値を持つステーブルコインを発行するためのプロトコルであり、金融機関が完全に分散型で代替可能なステーブルコインを発行できるようにすることを目的としています。このプロトコルは、デジタル時代のための「マネーミドルウェア」として機能し、分散型かつ相互運用可能な機関級ステーブルコインを目指しています。
M^0のチームは、MakerDAOやCircleから来たステーブルコインの先駆者たちによって構成され、パンテラ・キャピタルが主導する2250万ドルのシードラウンドで昨年ステルスモードから登場しました。M^0プロトコルは、デジタル時代の5兆ドルから20兆ドル規模のオフショアドル市場を再現することを目指しています。
M^0 LabsのCEOであるルカ・プロスペリ氏は、ステーブルコインの発行は中央集権的な当事者によって行われるべきではなく、流動性を分割し続けるべきではないと述べています。M^0はMakerDAOの元のアイデアの一部を取り入れつつ、それをより機関向けに展開しています。
M^0 Labsのチーフストラテジーオフィサーであるジョアン・レジナット氏は、ステーブルコインが相互運用可能でないことを「かなりばかげている」と指摘し、発行者が各自の管轄区域で個別の制度に準拠し、代替可能なトークンを発行する「多発行」のアプローチを提案しています。
M^0プロトコルは2024年第2四半期に稼働開始予定で、初期のユーザーベースには暗号通貨に対応した金融機関、分散型金融(DeFi)に投資するファンド、マーケットメーカーが含まれます。プロスペリ氏によると、将来的にはプロトコルが金融技術企業のバックエンドとなることが期待されています。
【ニュース解説】
デジタル資産とブロックチェーン技術の進化に伴い、金融機関が米国債に裏打ちされたステーブルコインを発行できる新しいプロトコル「M^0(エムゼロ)」が登場しました。このプロトコルは、従来の金融システムに代わる新しい形の「マネーミドルウェア」として機能し、分散型かつ相互運用可能な機関級ステーブルコインの実現を目指しています。
M^0は、MakerDAOやCircleといったステーブルコイン分野の先駆者たちが中心となり、パンテラ・キャピタル主導の下で資金を調達し、その技術を開発しています。このプロトコルは、デジタル時代に適したオフショアドル市場を再現することを目標に掲げており、5兆ドルから20兆ドル規模の市場を対象としています。
M^0の特徴は、中央集権的な発行体に依存せずに、複数の発行体がそれぞれの法的要件に従いながら、互換性のあるステーブルコインを発行できる点です。これにより、流動性が分散されることなく、より効率的な資金の流れが可能になります。また、ステーブルコイン間の相互運用性を高めることで、ユーザーは異なる発行体のトークンを容易に交換できるようになります。
M^0プロトコルの稼働は2024年第2四半期を予定しており、初期の利用者としては暗号通貨に対応した金融機関やDeFiに投資するファンド、マーケットメーカーなどが想定されています。しかし、プロトコルの開発者たちは、将来的には金融技術企業のバックエンドとしての役割を果たすことを目指しており、銀行ではなく新しい金融の形を提供することを夢見ています。
この技術が実現すれば、金融機関はより安全で透明性の高い方法でステーブルコインを発行できるようになり、ユーザーは異なるプラットフォーム間でスムーズに資産を移動できるようになるでしょう。しかし、新しい金融システムの導入には、既存の規制枠組みとの整合性や、セキュリティ面での潜在的なリスクへの対応が必要です。また、分散型金融の普及に伴い、規制当局がどのようにこれらの新しい技術を取り扱うかも重要な課題となります。
長期的には、M^0のようなプロトコルが金融業界におけるイノベーションを促進し、より効率的でアクセスしやすい金融サービスの提供に寄与する可能性があります。これにより、世界中の人々が金融サービスを利用する際のハードルが低くなり、経済活動の活性化につながることが期待されます。
from Cryptodollar Minting Protocol M^0 Will Allow Institutions to Issue Stablecoins Backed by U.S. Treasuries.