【ダイジェスト】
JPMorganの調査によると、機関トレーダーの過半数が暗号資産への露出を望んでいないことが明らかになりました。この調査は4,000人以上のトレーダーを対象に行われ、78%が今後5年間で暗号資産を取引する予定がないと回答しました。一方で、暗号資産を取引する予定があると回答したのはわずか12%にとどまりました。
調査参加者のうち、ブロックチェーン技術を今後3年間で取引に最も影響を与える技術と見なしているのは7%に減少し、これは2022年の25%から大幅に減少しています。一方で、AI（人工知能）と機械学習が最も影響力のある技術として挙げられ、61%の参加者がその影響を予測しています。
暗号資産セクターで現在取引を行っていると回答したトレーダーは9%で、2023年の8%からわずかに増加しています。また、今後5年以内に暗号資産を取引する計画があると回答したトレーダーは12%でした。
今年の市場を動かすと予想されるマクロ経済イベントとして、インフレーション（27%）、米国選挙（20%）、および景気後退リスク（18%）が上位3つに挙げられました。
【ニュース解説】
金融大手JPMorganが行った調査によると、機関トレーダーの間で暗号資産（仮想通貨）への関心が低下していることが示されました。この調査は、世界中のトレーダーを対象に行われ、多くの参加者が今後5年間で暗号資産を取引する予定がないと答えています。これは、暗号資産市場の不安定さやリスクを懸念していることが背景にあると考えられます。
ブロックチェーン技術に対する評価も下がっており、取引における影響力が高いと見なすトレーダーはわずか7%にとどまっています。これは、過去数年間でブロックチェーンへの期待が高まっていたものの、実際の応用や成果が期待に応えられていないことが原因かもしれません。
一方で、AIと機械学習に対する期待は高まっており、これらの技術が今後の取引に大きな影響を与えると予測するトレーダーが多数を占めています。AIと機械学習は、市場分析や取引戦略の最適化など、多方面での活用が期待されており、これらの技術が取引の効率化や精度向上に寄与することが予想されます。
暗号資産市場における機関トレーダーの活動はわずかに増加しており、これは市場の回復や大手金融機関の参入などが影響している可能性があります。特に、米国でビットコインETFが承認されたことは、機関投資家にとって重要なマイルストーンとなりました。
しかし、暗号資産市場への慎重な姿勢は、市場の不確実性や過去の暗号資産関連の問題（破産や価格の暴落など）によるものであり、機関投資家がリスクを避ける傾向があることを示しています。また、インフレーション、米国選挙、景気後退リスクなどのマクロ経済イベントが市場に影響を与えると予想されており、これらの要因が暗号資産市場にも影響を及ぼす可能性があります。
この調査結果は、暗号資産市場がまだ成熟していないこと、そして多くの機関投資家が伝統的な金融市場に比べて暗号資産市場のリスクを高く評価していることを示しています。将来的には、暗号資産市場の安定性が向上し、規制環境が整備されれば、機関投資家の参入が増加する可能性がありますが、それには時間がかかるかもしれません。また、AIと機械学習の進展が、暗号資産市場を含む金融取引全体に革新をもたらすことが期待されています。
from JPMorgan Survey Shows Over Half of Institutional Traders Don't Want Crypto Exposure.
