ワイオミング州は、分散型自律組織(DAO)に新たな法的地位「非法人化された非営利組織」としての認識を与える法律を制定しました。この法律は、DAOが第三者と契約を結ぶこと、裁判所に出廷することを可能にし、税金を支払い、他のメンバーの行動による責任から限定的な保護を提供します。この動きは、ワイオミング州がDAOに対して既に提供していた、有限責任会社としての設立を可能にする法的枠組みをさらに拡張するものです。
クリプト投資大手のアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)は、この新しい法的枠組みを「主要なブレークスルー」と評価し、ブロックチェーンネットワークを開かれた状態に保つために必要な保護をDAOに提供すると述べています。a16zは、関連するDAOに対してこの法的地位を取得するよう促し、今後はこの法的パスを追求するエンティティへの投資に限定する方針を示しています。
ワイオミング州は、暗号ビジネスに特に友好的な州として知られ、ライセンスイニシアチブの先駆けとなっています。また、同州のシンシア・ラミス上院議員は、安定コイン発行者に対する規則を設定するなど、連邦レベルでの暗号規制を推進しています。
一方で、米国商品先物取引委員会(CFTC)などの連邦規制当局は、Ooki DAOに対する訴訟など、DAOに対しても積極的に行動を起こしています。
【ニュース解説】
ワイオミング州が、分散型自律組織(DAO)に対して新たな法的地位を与える法律を制定したことは、ブロックチェーンと暗号通貨の世界において注目すべき進展です。この法律により、DAOは「非法人化された非営利組織」として認識され、法的な存在を持つことができるようになります。これにより、DAOは第三者との契約を結ぶことが可能になり、裁判所での訴訟参加や税金の支払いが行えるようになります。また、他のメンバーの行動による責任から保護されるという利点もあります。
この法的枠組みの導入は、DAOがより安定した運営を行い、信頼性を高めることに寄与するでしょう。例えば、契約の締結や資金の調達がスムーズに行えるようになり、外部の投資家やパートナーとの関係構築が容易になります。さらに、法的な保護を受けることで、メンバーは自身の責任を明確に限定できるため、より積極的な参加や投資が期待できます。
しかし、このような法的地位の認定は、規制当局による監視や介入の可能性も高めることになります。例えば、米国商品先物取引委員会(CFTC)がDAOに対して行動を起こした事例があるように、法的枠組みが整備されることで、規制当局が明確な対象を持って行動しやすくなるという側面もあります。
長期的には、このような法的枠組みの整備は、DAOやブロックチェーン技術の社会的な受容を促進し、より多くのイノベーションを生み出す土壌を作ることになるでしょう。また、他の州や国々もワイオミング州の例に倣って同様の法的枠組みを導入する可能性があり、グローバルな規制の標準化につながるかもしれません。
一方で、この法的地位の認定は、DAOの運営における透明性やガバナンスの問題を解決するものではありません。DAOの運営には依然として多くの課題が存在し、法的枠組みの整備だけでは克服できない問題も多いです。したがって、法的地位の認定と並行して、DAOの内部ガバナンスや運営の透明性を高める取り組みも重要です。
この法律の制定は、ブロックチェーン技術と暗号通貨の未来にとって重要な一歩であり、その影響は今後数年にわたって広がっていくことが予想されます。
from Wyoming Grants DAOs New Legal Structure.