オーストラリアの連邦裁判所は、国の市場規制当局がFinder Walletに対して提起した訴訟を却下しました。この訴訟では、Finder Walletが提供するFinder Earn製品が有価証券であるとして、オーストラリアの法律に違反していると主張されていました。しかし、裁判所はオーストラリア証券投資委員会(ASIC)がFinder Earn製品が有価証券であると立証できなかったと判断し、ASICに被告の訴訟費用を支払うよう命じました。
この判決は、暗号資産業界にとって重要な勝利とされ、政策立案者や規制当局が業界と協力して明確な指針を提供することの重要性を示すものと評価されています。Finderは2022年11月にFinder Earn製品の提供を停止しましたが、将来的に再開する可能性については否定していません。
ASICはこの裁判所の判決に対して28日以内に控訴する権利があります。オーストラリア財務省は、2024年までに暗号資産提供者に対するライセンスと保管規則をカバーする法案の草案を発表する予定であり、法律が成立すれば、取引所は新しい制度に移行するために12ヶ月の猶予期間が与えられます。
【ニュース解説】
オーストラリアの連邦裁判所が、Finder Walletに対する市場規制当局ASICの訴訟を却下したというニュースは、暗号資産業界にとって画期的な出来事です。ASICはFinder Walletが提供していた「Finder Earn」製品が有価証券(debenture)に該当するとして、オーストラリアの法律に基づきライセンスなしで金融サービス業を営んでいると主張していましたが、裁判所はこの主張を認めませんでした。この結果、ASICは訴訟費用をFinder Walletに支払うことになりました。
この判決は、暗号資産が有価証券と見なされるかどうかを巡る初の法的判断であり、規制当局が業界に対してどのように対応すべきか、また業界がどのように規制に適応していくべきかについての指針を示すものとなります。Finder WalletはFTXの問題が発生した後、競争力の低下を理由にFinder Earn製品の提供を停止していましたが、今後の状況によっては再開する可能性も残しています。
この判決は、暗号資産業界における規制のあり方に大きな影響を与える可能性があります。ASICが控訴するかどうかはまだ未定ですが、オーストラリア財務省は暗号資産提供者に対するライセンスと保管規則を含む法案の草案を2024年までに発表する予定であり、この法案が成立すれば、業界は新しい規制環境に適応するための移行期間を設けることになります。
このような判決は、暗号資産業界における法的な不確実性を減少させ、業界の成熟に寄与すると期待されます。一方で、規制当局が暗号資産をどのように分類し、どのような基準で規制するかについては、今後も議論が続くことでしょう。また、消費者保護の観点から、適切なライセンスや認可なしに提供される金融サービスに対する懸念も引き続き存在します。
この判決は、暗号資産業界における規制の透明性と予測可能性を高める一歩となる可能性がありますが、同時に規制当局と業界との間での継続的な対話と協力が重要であることを示しています。また、将来的には、このような判決が他国の規制当局や裁判所による暗号資産に関する判断に影響を与える可能性もあります。
from Australian Court Dismisses Lawsuit by Market Regulator Against Finder in 'Landmark' Ruling for Crypto Industry.