国際証券委員会機構(IOSCO)は、資産のトークン化に新たな注目を向けていると発表しました。この取り組みは、IOSCOのフィンテックタスクフォースが既に提供している暗号資産に関する原則とガイダンスに基づいており、証券市場と分散型台帳技術に特化したトークン化のユースケースに焦点を当てます。この成果は、さらなる政策指針が必要かどうかを分析するのに役立つとされています。
IOSCOは、資産トークン化の採用と現在のユースケースに関するIOSCOメンバー間の共通理解を深めることを目的としています。規制当局や金融機関は、実世界の資産のデジタル化であるトークン化にますます関心を寄せています。最近では、一連の中央銀行がトークン化プロジェクトを立ち上げ、英国政府の支援を受けた報告書が企業にトークン化戦略の実行を奨励しています。また、Blackrockなどの主要投資会社が先月トークン化競争に参入し、技術が進むにつれてONDOなどのトークンが注目を集めています。
暗号資産は既にIOSCOにとって高い優先事項であり、同機関は昨年、このセクターに対する最終勧告を発表しました。また、IOSCOは冬に暗号資産実施ロードマップを承認し、今年の後半には評価方法論を開発し、小売投資家向けの暗号資産に関する2020年の投資家教育報告書を更新する予定です。
さらに、IOSCOは新しい戦略において、人工知能が提示するいくつかの課題を探求する意向も示しています。
【ニュース解説】
国際証券委員会機構(IOSCO)が、資産のトークン化に関する新たな焦点を設定しました。資産トークン化とは、不動産や美術品などの実物資産をデジタルトークンに変換し、これをブロックチェーン上で取引可能にする技術です。この技術は、証券市場における新たな可能性を開くと同時に、規制上の課題も提起しています。
IOSCOは、フィンテックタスクフォースを通じて、暗号資産に関する原則とガイダンスを提供してきましたが、今回の戦略では、証券市場に特化したトークン化のユースケースに注目し、さらなる政策指針が必要かどうかを検討することになります。これにより、IOSCOメンバー間での資産トークン化の採用と利用に関する共通理解が深まることが期待されます。
資産トークン化は、流動性の低い資産をより簡単に取引できるようにすることで、新たな投資機会を提供します。例えば、不動産の一部をトークン化することで、小額から投資が可能になり、多くの人々が不動産市場に参入できるようになります。しかし、この技術は、価格操作や不正取引などのリスクもはらんでおり、これらを防ぐための規制フレームワークの構築が求められています。
また、IOSCOは人工知能(AI)が金融市場にもたらす課題にも注目しています。AIは、取引の自動化やリスク管理の向上に貢献する一方で、予測不可能な市場の動きを引き起こす可能性もあり、その監視と規制が重要な課題となっています。
長期的には、資産トークン化とAIの進展は、金融市場の透明性と効率性を高める可能性がありますが、それには適切な規制が伴う必要があります。IOSCOの取り組みは、これらの新技術が持つポテンシャルを最大限に活用しつつ、市場の安全性と投資家保護を確保するためのバランスを見つけることに貢献するでしょう。
from Asset Tokenization Draws Focus From Global Securities Watchdogs.