バンガードの新CEO、サリム・ラムジがビットコインETFの提供に否定的な姿勢を示した。2024年7月8日にCEOの座をティム・バックリーから引き継ぐ予定のラムジは、バンガードが自社のビットコインETFを提供することについて、同社の投資哲学と一致していないとの見解を示した。また、バンガードが顧客に対して、今年1月11日に利用可能となった他のスポットビットコインETFへの取引アクセスを提供しない決定については言及しなかった。
ラムジは以前、ブラックロックでグローバルiSharesビジネスを率い、同社がスポットビットコインETFの提供と承認を勝ち取る上で重要な役割を果たしていた。彼は2023年1月にブラックロックを退社した。
【ニュース解説】
バンガードの新しいCEOに就任することが予定されているサリム・ラムジ氏は、同社がビットコインETF(上場投資信託)を提供する計画はないと明言しました。バンガードは従来から、投資哲学に基づいて一貫した商品やサービスを提供しており、ビットコインETFはその哲学に合致しないとの立場を取っています。ラムジ氏は、この点についてバンガードの投資哲学と一致していると述べ、前任のCIO(最高投資責任者)であるグレッグ・デイビス氏の説明に同意していることを強調しました。
さらに、バンガードは今年1月に利用可能になった他社のスポットビットコインETFへの取引アクセスを顧客に提供しないという決定もしていますが、ラムジ氏はこの点についてはコメントを避けました。これは、バンガードがビットコインETFを取り扱わないという方針を維持していることを示しています。
ラムジ氏は、ブラックロックに在籍していた時に、同社がスポットビットコインETFを提供し、その承認を勝ち取るための重要な役割を果たしていました。しかし、彼がバンガードのCEOに就任しても、その経験を活かしてビットコインETFを推進することはないようです。
この決定は、ビットコインやその他の暗号資産に対する投資家のアクセスに影響を与える可能性があります。ETFは、個々の投資家が直接ビットコインを購入・保管することなく、株式市場を通じてビットコインに投資する手段を提供します。バンガードがビットコインETFを提供しないことは、同社の顧客が他の方法を探すか、他の金融機関を利用する必要があることを意味します。
一方で、バンガードのような大手資産運用会社がビットコインETFを取り扱わないことは、暗号資産市場の成熟度やリスクに対する慎重な評価を反映しているとも言えます。暗号資産は価格の変動が激しく、規制の不確実性も高いため、伝統的な投資哲学を持つ企業にとっては、その取り扱いに慎重になることは理解できる選択です。
長期的には、暗号資産市場の規制環境が整備され、安定性が向上することで、バンガードのような企業もビットコインETFを含む暗号資産関連商品の提供を再検討する可能性があります。しかし、現時点では、バンガードは従来の投資商品に焦点を当て、暗号資産市場への直接的な参入を控える方針を明確にしています。
from Incoming Vanguard CEO Won't Reverse Decision Not to Launch Bitcoin ETF.