米連邦準備制度理事会(FRB)は、2024年6月12日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で、基準となる連邦資金利率の範囲を5.25%-5.50%に維持すると発表しました。しかし、経済見通しを更新し、今年予想される利下げは25ベーシスポイントの1回にとどまるとの見方を示しました。これは、3か月前の見通しで予想されていた75ベーシスポイントの利下げからの変更です。2025年末の連邦資金利率の中央値予想は4.1%とされ、来年には100ベーシスポイントの利下げが予想されています。
この発表は、5月の米消費者物価指数(CPI)レポートが予想外のインフレ減速を示した後に行われました。このニュースは、暗号資産、株式、債券市場を急騰させ、連邦準備制度による利下げ開始の期待を高めました。しかし、2024年の利率見通しに対する鷹派的な変更は、ビットコイン(BTC)の価格上昇にブレーキをかけ、過去24時間で3.5%上昇したものの、価格は69,100ドルにとどまりました。
米国株は依然として大幅に上昇しており、ナスダックは1.7%、S&P 500は1%の上昇を記録しています。ドル指数はセッションの安値から回復していますが、0.5%下落しています。10年物国債利回りはわずかに上昇していますが、日中は12.5ベーシスポイント低下し、4.28%となっています。
連邦準備制度理事会議長のジェローム・パウエルは、会合後の記者会見で、今日の決定と今後の金融政策に関する中央銀行の考え方についてさらに詳しく説明する予定です。
【ニュース解説】
米連邦準備制度理事会(FRB)が2024年6月の会合で、基本的な金利である連邦資金利率を現行の5.25%-5.50%の範囲で維持すると発表しました。これは、インフレ率を目標の2%に戻すための進捗が「わずか」だが見られたと評価した結果です。以前の声明ではインフレ低下に向けた進捗が不足しているとの懸念が示されていましたが、今回の「わずかな進捗」という表現は、状況が少し改善していることを示唆しています。
経済見通しの更新では、2024年末の連邦資金利率の中央値が5.1%に設定され、これは3か月前の4.6%から上方修正されたものです。これにより、今年予想される利下げは以前の75ベーシスポイントから25ベーシスポイントの1回に減少しました。また、2025年末には4.1%になると予想されており、来年には100ベーシスポイントの利下げが見込まれています。
この金融政策の見通しは、市場に大きな影響を与えます。例えば、予想外のインフレ減速が報告されたことで、市場は連邦準備制度の利下げ開始に対する期待を高め、ビットコインを含む暗号資産や株式、債券市場が上昇しました。しかし、FRBの見通しが鷹派的に変わったことで、ビットコインの価格上昇には一時的な停滞が見られました。
このような金融政策の変更は、投資家の行動に直接影響を及ぼし、市場全体の動向を左右する可能性があります。金利が高いと、借り入れコストが増加し、企業や消費者の支出が抑制されることが予想されます。これは経済成長の鈍化を意味する可能性がありますが、一方でインフレ抑制には効果的です。金利が低下すると、逆に経済活動が刺激される可能性がありますが、インフレが加速するリスクもあります。
FRBの政策決定は、経済の安定と成長を目指して行われますが、その決定が常に正しいとは限らず、予期せぬ経済の変動や外部要因によっては、政策の調整が必要になることもあります。したがって、FRBの声明や議長の発言は、市場参加者にとって重要な情報源となり、その一言一句が市場のセンチメントに大きな影響を与えることがあります。
長期的な視点では、FRBの金融政策は経済のサイクルやトレンドを形成する要因の一つとなります。インフレ率のコントロール、雇用の安定、そして経済成長の維持は、FRBが目指す主要な目標です。これらの目標を達成するためには、金融政策の適切な調整が不可欠であり、そのためには経済データの正確な分析と予測が求められます。
from Fed Holds Policy Steady, but Sees Just One Rate Cut This Year.