SANS研究所は、2024年11月7日から2025年1月3日まで、第21回ホリデーハックチャレンジを開催している。このオンラインコンペティションは、サイバーセキュリティの実践的なスキルを磨くことを目的としている。
主な特徴は以下の通り:
- 全スキルレベルのプレイヤーが参加可能
- サンタやエルフをテーマにした架空の世界で展開
- 難易度は1から5の雪玉で表示
- 各チャレンジにイージーモードとハードモードを用意
- 解決方法に応じて金、銀、銅のトロフィーを獲得
- Discordサーバーでコミュニティ交流が可能
- 組織やグループ単位で参加できる「コホート」システムを導入
今年のチャレンジカテゴリーには、以下の10種類がある:
- ランサムウェアのリバースエンジニアリング
- ハードウェアハッキング
- MQTTとビデオフィード操作を使用したWebアプリハッキング
- ビデオゲームハッキング
- KQLを使用した脅威ハンティング
- SIM/SEM分析
- モバイルアプリの侵入テスト
- ドローンパス分析を通じたOSINT
- cURLを使用したWeb探索
- サイバー防御のためのPowerShell
グランプリ受賞者にはSANSのオンデマンドコースが贈られる。過去の参加者の中には、このチャレンジをきっかけに就職や転職を果たした例もある。
結果発表は2025年1月16日のウェブキャストで行われる予定だ。
from:Test Your Cyber Skills With the SANS Holiday Hack Challenge
【編集部解説】
SANSホリデーハックチャレンジは、サイバーセキュリティ教育の世界的リーダーであるSANS研究所が21年間継続して開催している伝統あるイベントです。
今年のチャレンジは、例年より1ヶ月早い11月7日から開始され、より長期的な学習機会を提供する新しい形式を採用しています。
特徴的な進化
今年の「Snow-maggedon」と題された大会では、重要な革新が導入されています。各チャレンジにイージーモードとハードモードが用意され、参加者は自分の実力に合わせて挑戦できるようになりました。
さらに、組織やグループ単位で参加できる「コホート」システムが導入され、チーム内での競争も可能になっています。
実践的な価値
このチャレンジの特筆すべき点は、すべての課題が実際のサイバーセキュリティインシデントに基づいて設計されていることです。これにより、参加者は理論だけでなく、実践的なスキルを身につけることができます。
キャリア形成への影響
過去の参加者の中には、このチャレンジをきっかけにサイバーセキュリティ分野での就職や転職を果たした例が複数あります[2]。これは、このイベントが単なるゲーム的な競争ではなく、実務レベルの技術習得の場として機能していることを示しています。
今後の展望
サイバーセキュリティ人材の不足が世界的な課題となる中、このような実践的な学習機会の重要性は今後さらに高まると考えられます。特に、無料で参加できる点は、経済的な障壁を取り除き、より多くの人々にキャリア形成の機会を提供するという点で重要な意味を持っています。
日本市場への示唆
日本のサイバーセキュリティ教育においても、このような実践的かつ楽しみながら学べるアプローチは参考になるでしょう。特に、企業内での人材育成や、次世代のセキュリティ専門家の育成において、有効な手法として注目に値します。
【用語解説】
- SANS Institute (SANSインスティテュート)
サイバーセキュリティ教育と認証を提供する世界的に有名な組織。日本でいえば、情報処理推進機構(IPA)のような存在です。
- ホリデーハックチャレンジ
クリスマスをテーマにしたサイバーセキュリティの実践的な学習イベント。日本の「セキュリティ・キャンプ」に似ていますが、オンラインで行われ、より大規模です。
- CTF (Capture The Flag)
サイバーセキュリティの技術を競うコンテスト。宝探しゲームのようなものですが、デジタルの世界で行われます。
【参考リンク】
- SANS Institute(外部)
世界最大のサイバーセキュリティトレーニング、資格認定、研究機関のオフィシャルサイト
- Holiday Hack Challenge(外部)
SANSが主催する年間サイバーセキュリティチャレンジの公式ページ。無料で参加可能
- Counter Hack(外部)
Ed Skoudisが率いるペネトレーションテストと教育プログラムを提供する企業のウェブサイト
【参考動画】
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