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ドローンニュース

災害復興×次世代モビリティ──「空飛ぶ車」EH216L物流eVTOLが能登半島で250kg積載の飛行実証へ

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 - innovaTopia - (イノベトピア)

空飛ぶ車が現実となる瞬間—能登半島で刻まれる新たな歴史

「空飛ぶ車」と聞いて、どんな映像が頭に浮かぶでしょうか。SF映画の未来都市を颯爽と駆け抜ける乗り物でしょうか。それとも、渋滞知らずの通勤手段でしょうか。しかし、2025年8月13日、石川県珠洲市で行われるeVTOL「EH216L」の日本初試験飛行が示すのは、もっと現実的で、そして遥かに意義深い「空飛ぶ車」の姿です。

厳密に言えば、EH216Lは私たちが想像する「空飛ぶ車」とは異なります。これは物資輸送専用のeVTOL(Electric Vertical Take-off and Landing:電動垂直離着陸機)で、人を乗せて空を駆けるのではなく、最大250kgの荷物を運ぶことに特化した航空機です。しかし、道路のない空を自在に移動し、垂直に離着陸する姿は、まさに私たちが夢見た「空飛ぶ車」の原型と言えるでしょう。

この試験が特別なのは、単なる技術実証ではなく、能登半島地震の被災地復興支援という明確な社会的使命を背負っている点です。2024年1月1日の地震から1年7ヶ月が経過した今も、道路インフラの制約により物資輸送が困難な地域が残されています。そこにeVTOLが持つ「既存インフラに依存しない輸送能力」が光る——これこそが、新技術への純粋なワクワクと、現実の課題解決への強い意志が融合した瞬間なのです。

最大飛行距離35km、飛行時間21分という性能は、緊急医薬品の配送や孤立地域への救援物資輸送において、従来のヘリコプターでは実現困難なコスト効率を可能にします。まさに「空飛ぶ車」が、私たちの生活を根本から変える第一歩がここから始まろうとしているのです。

 - innovaTopia - (イノベトピア)

【概要】

一般社団法人MASC(岡山県倉敷市、理事長:井上峰一)が主催し、一般社団法人SKy Mobility JAPAN(石川県珠洲市、代表理事:浦達也)と一般社団法人日本ドローンビジネスサポート協会(岡山市、代表理事:森本宏治)が協力して、2025年8月13日に石川県珠洲市で中国EHang社製のeVTOL「EH216L」の日本初試験飛行を実施する。

EH216Lは物資輸送専用のeVTOLで、最大積載量250kg、最大飛行時間21分、最大飛行距離35km、最大速度130km/hの性能を持つ。機体サイズは5710mm×5716mm×2179mmである。

試験は2024年に発生した能登半島地震の被災地復興支援と次世代モビリティ実用化を目的とする。会場は珠洲市三崎町寺家の「ランプの宿」駐車場で、午前7時から8時まで実施される。日本の気象条件下での飛行性能確認、離着陸操作の安全性検証、災害対応への活用可能性検証を行う。

From:
文献リンク「空飛ぶ車」EH216Lデモフライト – Sky Mobility JAPAN

【編集部解説】

今回のニュースで注目すべきは、災害復旧と次世代モビリティの実用化を同時に進めるという革新的なアプローチです。2024年1月1日に発生した能登半島地震(M7.6、最大震度7)から1年7ヶ月が経過し、日本の災害対応技術が新たな段階に入ろうとしています。

EH216Lは中国EHang社が開発した物資輸送専用のeVTOLで、旅客輸送モデルのEH216-Sとは明確に区別されています。

このテストが画期的な理由は、単なる技術実証ではなく、実際の災害復旧現場での運用検証だという点です。能登半島地震の被災地では、道路やインフラの破損により従来の物資輸送が困難な状況が続いています。eVTOLは既存の交通インフラに依存しない輸送手段として、特に過疎地域や被災地での物資配送において大きな可能性を秘めています。

最大飛行距離35km、飛行時間21分という性能は、緊急時の医薬品配送や孤立地域への救援物資輸送には十分な能力です。従来のヘリコプターと比較して運用コストが大幅に削減できる点も、継続的な災害支援において重要な要素となります。

一方で、日本の厳格な航空法規制下での運用には課題も残ります。現在の国土交通省の規制では、eVTOLの商用運用には詳細な安全認証が必要で、実用化まで数年を要する可能性があります。また、21分という飛行時間の制約や、悪天候時の運用制限も実用性の観点で検討すべき要素です。

今回の試験は、2025年大阪万博でのeVTOL実演や、日本政府が推進する「空の移動革命」政策の重要な前段階として位置づけられます。災害復旧という社会的意義と技術実証を組み合わせた取り組みは、eVTOL普及への社会的受容性を高める効果的な戦略といえるでしょう。

災害大国である日本において、このような新技術が実際の復旧現場で検証されることは、将来の大規模災害への備えとしても極めて重要な意味を持ちます。

 - innovaTopia - (イノベトピア)

【用語解説】

eVTOL(Electric Vertical Take-off and Landing)
電動垂直離着陸機の略称。バッテリーで駆動するプロペラやローターを用いて垂直離着陸が可能な航空機。従来のヘリコプターと異なり、複数のローターによる分散推進システムを採用し、騒音が少なく環境負荷が低い。

AAV(Autonomous Aerial Vehicle)
自律飛行航空機の略称。人間のパイロットによる操縦を必要とせず、事前にプログラムされたルートや指令に従って自動飛行する航空機。GPS、各種センサー、AI技術を組み合わせて安全な自律飛行を実現する。

MLIT(国土交通省)
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourismの略称。日本の航空法や航空機認証を管轄する省庁で、eVTOLの試験飛行許可や将来の商用運用認可を担当する。

能登半島地震
2024年1月1日16時10分に石川県能登地方で発生したマグニチュード7.6、最大震度7の大地震。輪島市と志賀町で震度7を記録し、津波や火災、建物倒壊などの甚大な被害をもたらした。

コアキシャル設計
同軸反転プロペラ設計の意味。上下に重ねた2つのプロペラが逆方向に回転することで、トルクを相殺し安定した飛行を実現する設計方式。EH216Lの16個のプロペラは8対のコアキシャル構成となっている。

【参考リンク】

  1. EHang Holdings Limited(外部)
    中国広州を拠点とするeVTOL開発企業。NASDAQ上場企業で世界初のeVTOL型式証明を取得
  2. 一般社団法人MASC(外部)
    岡山県倉敷市を拠点とする航空宇宙産業クラスター研究会。eVTOL普及や地域振興に取り組む
  3. 一般社団法人SKy Mobility JAPAN(外部)
    石川県珠洲市を拠点とする2025年1月設立の組織。能登半島地震復興支援を目的とする

【参考記事】

  1. EHang Showcases EH216 Series and VT-30 Pilotless eVTOL Aircraft(外部)
    EHang社公式発表。EH216シリーズとVT-30の技術仕様と世界各地での実証飛行状況を詳述
  2. EHang launches 200kg payload cargo version of its 216 autonomous air vehicle(外部)
    2020年のEH216L発表時の詳細記事。200kg積載能力を持つ物流専用版の技術的特徴を解説
  3. 能登半島地震 (2024年) – Wikipedia(外部)
    2024年1月1日の能登半島地震の詳細情報。地震規模、被害状況、復興状況を包括的に記録
  4. EHang’s EH216 eVTOL completes Japan’s first passenger-carrying demo flight(外部)
    2023年2月の日本初有人飛行デモの詳細。大分県での実施状況とEHangの日本展開戦略を記述
  5. EHang EH216-S (production model)(外部)
    EH216シリーズの技術仕様と認証状況の詳細データベース。機体性能、飛行実績を網羅的に記録

【編集部後記】

災害復興の現場で次世代テクノロジーが実証される——これほど心を動かされるニュースがあるでしょうか。能登半島の被災地で行われるeVTOLの試験飛行は、単なる技術デモを超えた深い意味を持っています。

私たちは普段、最新技術の華やかな側面に注目しがちですが、今回のような「人々の役に立つ技術」の姿を目にすると、改めてイノベーションの本質を考えさせられます。みなさんは、技術の進歩と社会貢献が両立する瞬間に、どのような可能性を感じますか?この試験が成功した先に、どんな未来の風景を描いているでしょうか。

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スマート農業ニュース

ドローンとAIは農業の未来を拓くか? 女性パイロットが見せる、新たな景色。

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『耕さない人が耕す挑戦』 - innovaTopia - (イノベトピア)

新シリーズ予告:『耕さない人が耕す挑戦』

空からの視点を持つ一人の女性ドローンパイロットが、今、テクノロジーと人の輪で、農業の「未来図」を描こうとしている。兵庫県を拠点に活動するSky Studioの「とらこ」さんだ。彼女が掲げる『Torakoの田んぼ☆プロジェクト!〜耕さない人が、耕す挑戦〜』は、従来の農業の常識を覆す可能性を秘めている。まずは、彼女がその瞳で見つめる景色を、少しだけ覗いてみよう。

▲ドローンで撮影した実際の田んぼの様子。プロジェクトの舞台裏を映像でご覧ください。

innovaTopiaでは、この挑戦を『ドローンパイロットが農業に挑戦してみた-耕さない人が耕す挑戦-』としてシリーズで追っていく。今回はそのプレビューとして、プロジェクトの全貌、そして今月末に迫った「ひょうご地域創生フェス2025 カケルDAY」への想いを、編集者・記者のTaTsuが聞いた。

「持たざる者」だからこそできる、農業のDX

TaTsu: とらこさん、本日はよろしくお願いします。innovaTopiaではドローンやスマート農業の最新動向を追っていますが、「耕さない人が耕す」という挑戦、非常に興味深く感じています。まずは、とらこさんが普段どのような活動をされているのか教えていただけますか?

とらこ: よろしくお願いします。普段はSky Studioとして、一等無人航空機操縦士の資格を活かし、地域の魅力を発信する空撮などを行っています。また、「ドローンの寺子屋」という教室を開いて、ドローンの楽しさや可能性を伝える活動もしています。

TaTsu: まさに「空のプロフェッショナル」ですね。そのとらこさんが、なぜ今回、畑違いとも思える「農業」に挑戦しようと思われたのでしょうか?

とらこ: きっかけは、いつも見ている空からの景色でした。ドローンで撮影をしていると、美しい田園風景の中に、耕作されずに荒れてしまった「休耕田」が驚くほど多いことに気づかされるんです。

同時に、農家の方々が高齢化と戦いながら、大変な思いで農業を続けている姿も目の当たりにしてきました。「この現状を何とかできないか」「高齢化による働き手不足を技術で補い、増え続ける休耕田での作業を自動化・軽減できないか」という想いが日に日に強くなっていた2024年11月、幸運にも「この土地、使っていいよ」と言ってくださる方が現れ、私の挑戦は始まりました。

 - innovaTopia - (イノベトピア)

TaTsu: 運命的な出会いがきっかけだったのですね。知識ゼロからのスタートで、土地の規模はどのくらいだったのですか?

とらこ: たつの市新宮町にある合計8反(約8,000㎡)の土地です。半分は通常の田んぼ、もう半分は10年間手付かずだった耕作放棄地でした。もちろん農業の知識も経験も、農機もありません。だからこそ、私のプロジェクトは「耕さない人が、耕す挑戦」。つまり、持たないことを前提にスタートしています。

TaTsu: 「持たないこと」を前提に、ですか。非常に興味深いです。では、具体的にどのようにプロジェクトを進めているのでしょうか?

とらこ: はい。私の挑戦を支える武器は、大きく分けて3つあります。
一つ目は、今お話しした「①委託型のスマート農業」です。農機が必要な作業は地域のプロにお任せすることで、初期投資と専門技術の壁をクリアします。
二つ目は、私の専門である「②ドローン技術」。大変な種まきや肥料・農薬の散布は、全てドローンが担います。これにより、大幅な省力化が可能です。
そして三つ目が、「③AIによる生育管理」です。「ザルビオ」というシステムが、15年分の蓄積データから、水管理や除草剤散布の最適なタイミングを教えてくれるんです。
この3つの武器を組み合わせることで、初期投資と経験不足という大きな壁を乗り越え、誰もが挑戦しやすい持続可能なモデルを構築できると信じています。

8月30日、挑戦の輪を広げるために

TaTsu: 非常に合理的で、未来を感じる仕組みです。その挑戦の全貌が、いよいよ多くの人の前で語られるわけですね。8月30日に神戸で開催される「ひょうご地域創生フェス2025 カケルDAY」では、どのようなことを期待されていますか?

とらこ: はい、この「カケルDAY」は私にとって、プロジェクトを次のステージに進めるための大きな一歩です。この挑戦は、私一人では決して成し遂げられません。私のビジョンに共感し、力を貸してくださる「仲間」を見つけることが最大の目的です。

TaTsu: 具体的には、どのような仲間と繋がりたいと考えていますか?

とらこ: はい、本当に様々な形での関わりを歓迎しています。例えば、

  • 新しく農業を始めたいと思っている方
  • 休耕田の活用を考えている農家さんや地域の方々
  • 耕起やドローン散布、刈取りなどを担ってくださる専門コントラクターの方
  • プロジェクトを資金や技術で支えてくださる共創パートナー企業様
  • 映像制作やシステム開発などで、この仕組みを一緒に広めてくれる方
    など、関わり方は無限にあると思っています。「こんな関わり方はどう?」と、新しいアイデアをぶつけてくれる方も大歓迎です。

TaTsu: まさに、イベントのテーマである「懸ける(コラボレーション)」ですね。最後に、この記事を読んでいる方々へメッセージをお願いします。

とらこ: 私の挑戦は、まだ始まったばかりです。このinnovaTopiaでの連載を通じて、知識ゼロの女性ドローンパイロットが、たくさんの壁にぶつかりながらも、仲間と共に休耕田を蘇らせ、地域課題の解決に挑んでいくリアルな物語をお届けできればと思っています。その序章として、まずは8月30日の「カケルDAY」に足を運んでいただき、私の想いを直接聞いていただけると嬉しいです。農業だけでなく、様々なアイデアを持った人たちが集まる刺激的な一日になるはずです。会場で、未来を創る皆さんとお会いできることを楽しみにしています!

イベント情報

ひょうご地域創生フェス2025『カケルDAY』
  • イベント名: ひょうご地域創生フェス2025『カケルDAY』
  • 日時: 2025年8月30日(土) 9:30〜17:00
  • 場所: KIITO デザイン・クリエイティブセンター神戸
  • 料金: 入場無料、予約不要
  • 詳細: とらこさんは、パネルディスカッション「『農』の新たな可能性」に登壇するほか、ブースでの展示も予定。

Profile

とらこ | Sky Studio 代表
一等無人航空機操縦士。兵庫県を拠点に、ドローンを用いた空撮やPR動画制作、ドローン教室「ドローンの寺子屋」の運営など、ドローンの可能性を広げる活動を多岐にわたり展開。2025年より、スマート農業で休耕田の再生を目指す「Torakoの田んぼ☆プロジェクト」を始動。


【田んぼプロジェクトの紹介】


Torakoの田んぼ☆プロジェクト! 〜耕さない人が、耕す挑戦〜

耕さない人が、耕す挑戦。

一人のドローンパイロットが始めた、日本の休耕田を蘇らせる革新的なプロジェクト。

日本の農業が直面する、高い壁

多くの人が「農業は魅力的だ」と感じられない背景には、深刻な課題があります。

📉

儲からない

高いコストと不安定な収入。経済的な魅力の欠如が、後継者不足の一因になっています。

💪

きつい・汚れる

「3K」のイメージが根強く、特に若い世代から敬遠されがちです。孤独な作業も負担です。

🚧

新規就農の壁

高額な初期費用、土地の確保、専門知識の習得など、未経験者が参入するにはハードルが高すぎます。

🌾

耕作放棄地の増加

高齢化で担い手が減り、美しい田園風景が失われつつあります。これは食料安全保障の問題にも繋がります。

Torakoの答え:
新しい農業のカタチ

農家さんの撮影を通じて課題を痛感したとらこさんは、自身のスキルと新しいアイデアを組み合わせたプロジェクトを始動しました。

💡

知識・経験・農機ゼロからの挑戦

「持たざる者」が強みになる逆転の発想。高価な農機は持たず、大変な作業はアウトソース。テクノロジーを駆使し、誰もが参入しやすいモデルを構築します。

挑戦の舞台:合計8反(約8,000㎡)。通年稲作地4反と、10年間手付かずだった休耕田4反で、2025年4月9日に第一歩を踏み出しました。

プロジェクトを支える3つの武器

委託型スマート農業

生産者は司令塔。農機が必要な作業は地域のプロに委託し、初期投資ゼロで身軽に農業を始められるエコシステムを構築します。

ドローン技術

最も労力がかかる作業はドローンが担当。大幅な省力化と効率化を実現します。

ドローンが水田の上を飛行しているイメージ

AI管理システム「ザルビオ」

「いつ、何をすべきか」という経験に基づく判断はAIがサポート。15年分のデータが最適な作業タイミングを教えてくれます。

ザルビオシステムのダッシュボード画面のイメージ

2025年 挑戦の記録

休耕田の再生は一筋縄ではいきません。そのリアルな歩みをご覧ください。

  1. 🚜

    4月9日:耕起 委託

    10年分の固い土を、専門コントラクターが耕す。

  2. 🤝

    5月14-25日:石拾い地獄 協力

    耕した土から現れた巨大な石。InstagramでのSOSに「クロストーク」の仲間たちが駆けつけ、一緒にひたすら手で拾い続けた日々。

  3. 🤝

    5月22日:畔塗り 協力

    気付かなかった重要工程。地元の農会長が助っ人として登場!

  4. 🤝

    5月25日:水がたまらない! 協力

    モグラの穴で水が抜け続け困っていた時、以前空撮した農家さんが話を聞きつけ、助けてくれた。

  5. 💧

    日々の水の管理 自力

    水漏れの苦労から、つい水をためがちに。毎朝、最適な水位を保つための繊細な管理が求められる。

  6. 🚜

    5月31日 & 6月4日:代掻き 委託

    田んぼの土を細かく砕き、水平にする重要な工程。荒代掻きと本代掻きの2回実施。

  7. 🚁

    6月6日:ドローンで直播 委託

    幾多の困難を乗り越え、ついに鉄黒コート籾をドローンで播種。

  8. 🚁

    7月3日:ドローンで除草剤散布 委託

    土壌の状態が良いため、元肥は入れずに除草剤のみを散布。

  9. 💧

    7月13日:中干し 自力

    稲の根を強くするため、一度水を抜く。地道な管理が続く。

  10. 🚁

    7月29日:ドローンで追肥 委託

    生育状況に合わせ、ドローンが的確に栄養を届ける。

  1. 🚜

    5月14日:耕起 委託

    通年稲作地は、休耕田より約1ヶ月遅いスタート。

  2. 🚜

    5月31日 & 6月4日:代掻き 委託

    田んぼの土を細かく砕き、水平にする重要な工程。荒代掻きと本代掻きの2回実施。

  3. 🚁

    6月6日:ドローンで直播 委託

    休耕田と同日に播種。ここから生育の比較が始まる。

  4. 🐌

    6月〜:ジャンボタニシとの戦い 自力

    苗を食べ尽くす恐ろしい外来種。見つけては駆除する、地道な戦いが続く。

  5. 🚁

    7月3日:除草剤と元肥散布 委託

    こちらは元肥も同時に散布し、効率的に作業を進める。

  6. 💧

    7月13日:中干し 自力

    休耕田と同じく、強い稲を育てるための重要な工程。

  7. 🚁

    7月29日:ドローンで追肥 委託

    こちらもドローンで的確に栄養補給。

未来のビジョンと、仲間募集

播磨から兵庫全土へ。この新しい農業の輪を広げるために、あなたの力が必要です。

こんな方と繋がりたいです!

🤝 新規就農を希望する方
🌾 農家・土地活用を考える方
🚜 専門コントラクターの方
🏢 プロジェクト共創パートナー企業様
💡 地域課題の解決に興味がある方
📣 関わり方は自由!アイデア歓迎!

「こんな関わり方をしたい」という声も大歓迎です。まずは気軽にご連絡ください。

とらこさんのInstagramを見る

© 2025 Sky Studio

【用語解説】

一等無人航空機操縦士
2022年に新設されたドローンの国家資格。レベル4(有人地帯での目視外飛行)を含む、より高度で専門的なドローンの操縦が可能であることを証明します。

休耕田(耕作放棄地)
高齢化や担い手不足により、長年耕作されずに放置されている田んぼ。雑草が生い茂り、景観の悪化や害虫の発生源となるなど、地域課題の一つとされています。

スマート農業
ドローンやAI、IoTなどの先端技術を活用して、農作業の省力化・効率化、品質向上を目指す新しい農業の形です。

コントラクター(農業)
トラクターでの耕起やコンバインでの収穫など、特定の農作業を専門の機械と技術で請け負う事業者のこと。

ザルビオ(Xarvio® FIELD MANAGER)
ドイツのBASF社が開発した、AIを活用したデジタル農業プラットフォーム。衛星画像などから作物の生育状況を分析し、最適な肥料や農薬の散布時期・量を提案します。

8反(たん)
土地の面積を表す日本の単位。1反は約991.7平方メートル(約300坪)で、8反は約8,000平方メートルになります。

ひょうご地域創生フェス カケルDAY
兵庫県が主催する、地域の課題解決に取り組む人々やアイデアを繋げる(懸ける)ための交流・マッチングイベント。

【編集部後記】

今回、とらこさんのお話を伺い、その行動力と、何より「人との繋がり」を大切にする姿勢に深く感銘を受けました。彼女の挑戦は、単なるスマート農業の実践記録ではありません。

とらこさんが、ドローンという翼を武器に、兵庫県たつの市という大地に新しい種をまき、仲間という水を得て、未来を育てていく壮大な物語です。innovaTopiaでは、今後この物語を継続的に追いかけていきます。

AI「ザルビオ」がどのようなもので、現場でどのように活用されているのか(いくのか)、そして待望の初収穫はどのような感動をもたらすのか。(食べさせてくれるかな?)

そうそう、とらこさんは田んぼの活動と並行して、ドローン空撮や指導も行っています。そちらもぜひ、彼女のInstagramから問い合わせてみてくださいね。

では、今後の連載にご期待ください。(TaTsu)

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ロボティクスニュース

8月1日【今日は何の日?】「配管くんの日」─縁の下の力持ちを支える縁の下の力持ち【取材】

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アイキャッチ提供:弘栄ドリームワークス

蛇口をひねれば当たり前のように出てくる水。ガスコンロに火を点けるたび、あるいは温かい部屋で快適に過ごすとき――私たちは普段、その裏側に張り巡らされた膨大な「見えない道」のことなど考えもしません。

しかし、その現実は想像を絶するスケールで存在しています。

日本中に張り巡らされた配管の総延長は、約124万kmに達します。これがどれほどの距離か想像できるでしょうか?地球の赤道の約30周分。月と地球の距離の3倍以上。この膨大な「道」が、私たちの足の下、建物の壁の中、工場の天井裏に隠れています。

さらに、工場やビルには無数のガス管、空調用配管、工業用配管が存在し、その総延長は想像を絶します。しかも、これらの大部分は人間が通ることを前提として設計されていません。直径数十センチから数メートルまで、狭く暗く、時には有毒ガスが充満する危険な空間です。

この膨大なインフラに、今、深刻な問題が迫っています。

水道管の21%にあたる15.2万km(地球3.8周分)が、すでに法定耐用年数の40年を超えて老朽化しています(厚生労働省、2020年調査)。下水道管も同様で、標準耐用年数50年を超えた管路が4万km存在し、今後急速に増加する見込みなのです。

年間約2万件の水道管事故が全国で発生している現状を見れば、この問題の深刻さが分かります。しかし更新は遅々として進みません。水道管の年間更新率はわずか0.64%。このペースでは日本全国の水道管を更新するのに130年もの歳月がかかる計算です。

古い建物では配管の位置や状態が図面に正確に記録されていないケースが多く、戦後の高度成長期に急ピッチで建設されたビルや工場では、実際の配管ルートと図面が一致しないことは珍しくありません。

この日本の膨大な配管問題に対して、山形県の企業が新しい解決法を提示しました。今回の記事は私たちの生活の「縁の下の力持ち」である配管の抱える問題を日本の企業がロボットとテクノロジーの力で解決を試みているという話です。

今日は配管くんの日!

8月1日が「配管くんの日」とされている理由は、数字の語呂合わせにあります。

「は(8)い(1)かん」の語呂合わせから8月1日に制定されました。この記念日は、株式会社KOEI(旧・弘栄設備工業株式会社)が制定したもので、2024年に日本記念日協会に登録されています。

「配管くん」とは、同社が立命館大学と共同で開発した配管内点検ロボットで、カメラと位置計測センサーを搭載しており、排水管やガス管内の劣化度などを調査できます。

この記念日の目的は配管点検の重要性と建設設備業界の魅力を広く社会に伝えることで、建設設備業界の地位向上と社会的認知の拡大を図り、持続可能な社会の実現に貢献したいという願いが込められています。

配管くんって誰?

配管くんI型は立命館大学と共同開発された、配管探査ロボットです。(Ⅱ型Ⅲ型は大学との共同研究ではありません。)

配管くんにはI~Ⅲまでタイプがありそれぞれに個性的な機能があります。これは「配管点検、洗浄」に特化したロボットだからこそ既存の価値基準にとらわれずに生まれた新しい形とも言えます。

山形発の革新的技術「配管くん」は、単一の製品ではありません。現場の多様なニーズに応えるため、3つの異なるタイプが開発され、それぞれが独自の特長を持って配管業界に革命をもたらしています。

I型:世界初を詰め込んだ新型ロボット

配管くん I型は、まさに配管の中を自由自在に駆け回る小さな探検家です。φ100~φ150mmという中口径の配管に対応し、配管径に合わせて自動的に姿勢が変形するため異径管にも対応可能という柔軟性を持ちます。

直径100~150mmのティーズ管内を自走できるロボットの開発は配管くんが世界初です。

この I型の最大の特徴は、従来困難とされていた縦管調査を可能にしたことです。配管内を尺取り虫のような動きで自走し、車輪を内壁に押し当てることで重力に逆らって垂直方向にも移動できます。5mm程度の段差なら軽々と乗り越え、最長100メートルまでの探査が可能です。

配管くんI型の実際に動いている動画。ティーズ管の中を垂直に曲がって進んでいき側面のアクチュエータによって自走する。
提供:弘栄ドリームワークス

機体にジャイロセンサーが搭載されており、マッピング機能で配管経路を見える化し、進行距離も確認することができるため、従来は図面にも残らなかった複雑な配管ルートを正確に把握できます。特にティーズ管の分岐でもカメラで見ながら正確に進む事ができるのは、熟練技術者でも判断に迷う複雑な分岐点での威力を発揮しています。

II型Aタイプ:一石二鳥の効率マスター

筆者が個人的に一番好きな配管くんです。

配管くん II型Aタイプ:は、「なぜ調査と洗浄を別々にやるのか?」という発想の転換から生まれた革新的なモデルです。センサー内蔵カメラと高圧洗浄ホースを一体化することで、探査と清掃を同時進行できる画期的なシステムを実現しました。

ペットボトルロケットのように水を逆噴射して推進する。ついでに高圧の水によって清掃まで行う
提供:弘栄ドリームワークス

対応口径はΦ40-75/Φ75-125と、より小さな配管にも対応。高圧洗浄の水の噴射を推進力に利用することで、他の動力などが不要なためコンパクトでシンプルなシステムとなっており、40φという細い配管でも問題なく作業できます。

搭載された広角170°カメラとジャイロセンサー、高輝度LEDにより、洗浄作業中でも鮮明な映像撮影が可能です。これまで「調査してから後日洗浄」という二度手間だった作業が、一度で完了する効率性は現場作業員から絶大な支持を得ています。

配管くんⅡは内部のジャイロセンサーによって3Dマッピングが可能。映像データとリンクさせることによって古い建物のような図面のない場所でも探索が可能。
提供:弘栄ドリームワークス

III型:狭小空間のスペシャリスト

配管くん III型は、最も過酷な環境での調査を想定して設計された特殊部隊のような存在です。25φという極小口径から対応可能で、MTカメラにSSW(バネワイヤー)と呼ばれる特殊なカバーを開発。SSWに回転と押し込みを同時に行う事で、先端が段差を越え曲部を通過し、一般的な押し込み式カメラでは進みにくくなる管も進むことができます。

この III型の真価は、複雑に入り組んだ配管系統での調査能力にあります。約12mのMTカメラで長い配管もカバーし、タブレットで映像を確認しながら作業可能で、電源のない現場でも最大8時間の連続作業ができる独立性を持っています。

配管くん
ガス管の中ですら通ることができる体の小ささと長時間探査できるスタミナが特徴
提供:弘栄ドリームワークス

回転方向を変えることでティーズ管の分岐も正確に進むことができ、従来のカメラでは到達不可能だった狭小・複雑な配管内部の詳細な調査を実現しています。まさに「行けないところはない」というコンセプトを体現したモデルです。

【取材】

なんと!今回!弘栄ドリームワークスの代表取締役である菅原康弘社長がインタビューを受けてくださいました!今回のインタビューはinnovaTopiaのサイエンスライター:野村貴之が担当します。

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弘栄ドリームワークス 代表取締役社長 菅原康弘さん(話しているときの笑顔が素敵な方でした。大学時代は核物理の研究をされていたらしいです。)

野村「配管を探索するロボットは世界初の試みかと思います。はじめようと思われたきっかけはなんだったのでしょうか?」

菅原「そもそも、人が困ったから技術が生まれたんだと思うんですよ。配管ってみんな見えないから気にしてなくて図面が間違ってる場合とかあって、配管ってよくわからなかったんです。あと、うちの会長の船橋が『会社として、仕事として面白いことをしたい』と言ったことが発端ですね。昔ドローンが流行った時期に配管の中をドローンで見れたら面白いかなって思ったらしくて、それがきっかけでしたね」

菅原「今日本中の配管が危機的状況で、高度経済成長期に作られたビルがちょうど50~60年前なんですよ。だから人手も手間も配管を調べまわるのには必要で。そういう困りごとがあるから配管くんは生まれたんだと思います」

野村「配管くんで人の手間ってどのぐらい変わるんですか?」

菅原「場合によりますが、半分から1/3ぐらいになるのかな、と。実際に見積もったらそのぐらいですかね。1日かかっていたことが午前中ですね」

野村「1/3になるのは大きいですね。130年かかるものが40年になったら、かなり現実的ですね」

菅原「もっと言えば、高所に行かないといけないとか、狭いところを通らないといけない作業を人間がしなくてよくなりますね」

菅原「内視鏡検査と考え方は一緒ですね。昔はおなかを切って調べるものが、内視鏡で調べることができてからは対症療法じゃなくて、きちんと予防もできるようになったように、配管くんはビルの人間ドックができるんです」

野村「本当にビルの内視鏡って感じなんですね。事前に簡単にわかれば予防意識も高まりますものね」

野村「立命館大学との共同研究で苦労された点を教えてください。風土や雰囲気が大学と企業は違うなと感じるのですが…」

菅原「僕も昔大学にいたので風土に対する理解があったのはありますね。ただ、技術を作るのは大学で、企業が実用化すると住み分けしたおかげで少しうまくいきましたね。この線引きが産学提携を成功させるカギなのではないでしょうか」

菅原「まずは製品とサービスを出して100点を出さなくても事足りるって考え方が大事ですね。あとは、たまたま提携した大学の教員が『技術は世に出ないと意味がない』って考え方を持っていて、そこもよかったです。幸福な偶然でした」

野村「これはすごく大切ですね。実用化できるところは企業で、大学は新しい技術を作る。ですね」

菅原「そうですね。100点を求めないのは大切ですね。ありがちなのは、みんな『戦艦 大和』を作っちゃうんですよね。製品じゃなくてソリューションを提供するので、技術ではなくお客様が満足できることを優先するのが大切だと思います」

野村「確かに、お客様は論文を提供されても喜ばないですよね」

菅原「サービスレベルを下げて、うまく技術的な実現ができるようにするのが大事ですね」

野村「確かに、完璧なものを最初っから作ろうとすると、大変ですよね」

菅原「スピード感を現場に合わせてマネジメントするのが大切かなと思います。」

野村「何人ぐらいの研究開発グループがいましたか」

菅原「うちの会社の人間は3~4人でしたね。大学や外注先もいましたので全体として20人いましたね」

野村「3~4人……かなり少ないですね。やっぱり少数精鋭のスペシャリストが開発に携わったのですか?」

菅原「少し驚くかもしれませんが、うちの会社は中途で未経験ばかりなので、だからあまり常識にとらわれなかった部分はありましたね。そのおかげで少ないメンバーでも」

野村「どうして、未経験者を積極的に採用されているのですか?」

菅原「会長が新しいことをしようとして、というのがありましたね。設備業界って古い業界なので外から人を入れない雰囲気があったんです。僕も元々ITをしていたので、未経験です。配管くんの話も、もともとソフトウェアを私がいじっていたので、軽いノリでやってみようってなりました。できるとか、できないでやってたら話が進まないので会長の考え方にあったんだと思います。」

菅原「後々になって、いろいろな技術的な問題は出てきて大変でしたが、、、考えていたら進めなかったと思います」

野村「ロボット作ってね。って突然設備会社がなったら少し皆さん驚きますよね。周囲はどのような反応でしたか?」

菅原「最初の3~4年ぐらいはできるわけねえだろみたいな雰囲気は感じていましたね。なるべく無視してましたね。ここは鈍感力が本当に必要でしたね。意識的に鈍感にならないと大変でした」

野村「それはそれは…本当に大変だったんですね」

野村「配管の点検は社会問題だと感じています。僕はこのサービスを見たときに、国中の配管を配管くんが調査したら水道管の問題も解決するんじゃ!って思いました。国と提携する予定はありますか?」

菅原「それね。実は水道管の管理って国だけじゃなくていろんな自治体も絡んでて、水道局側と話しても各地方自治体も困ってて、実態も国が把握しきれていないというのが実情なんです。最終的に国中の水道管を配管くんが直すという構想がありますね。ただ、こういう状況なので、みんな何とかしたいけど動けないんです。本当はそうしたいですね。胃カメラみたいなカプセルを水道管に流して勝手に調べてくれるみたいな」

野村「最後は僕たちが知らず知らずのうちに配管くんがいろんな場所を調べてくれて、みたいなのを想定しているんですか?」

菅原「そうですね。最終的には定期的に一人一台配管くんがいて夜中にごそごそと配管くんが、、、というのを考えていましたね。難しいですが」

野村「なるほどです」

菅原「時にはなんだかんだ言って安全とかも考えると、ヒモとかでつながってた方がいいよねというのもあり今の形なんです。あとはだれが責任をとるのかという観点からも自動化は難しいですね」

野村「個人的に配管くんってかわいいと思うのですが、社長お気に入りの配管くんってありますか?俺はⅡ型が好きです」

菅原「僕もですね。Ⅱ型は生まれがシンプルなんですよ。もともと水を出しながら進む高圧洗浄機の先になんかでカメラをくっつけたのが生まれなんです。正直Ⅰ型は開発費が、億かかってるんですけど、Ⅱ型は10万もかかってなくてとにかく、シンプルなのが一番いいんですよ。下手にいろんな機構があるより、シンプルなのは学問もロボットもいいんですよね」

野村「確かに既存の技術の組み合わせですね。まさにセレンディピティですね。現場の観察眼と柔軟な技術があってこそのプロダクトだと感じました」

野村「この技術がこの先発展していけば、どのように世界が変わると考えていますか?」

菅原「配管くんがみんなから着目されている理由ってアナログだからだと思っているんですよ。ビジコンとかに行くとハードウェアがあるからか、審査員さんに地味だけどハードとソフトが一緒になっているのは強いよねって言われて。これってつまり最後まで残る技術だと思うんですよ」

菅原「例えばGAFAMのクラウドサービスはなくなるかもしれないですが、車はなくならないと思うんですよ。ハードウェアはリアルなものだからなくならないというか」

菅原「100年200年たった時にきれいな水を飲むとか、そういう部分って結局一番大事だと思っているんです。シンプルに人が生きていくうえで一番大切なものが一番世の中を変えていくんじゃないかなという気がします」

菅原社長とのインタビューはさらに続きます!近日公開!

世界の在り方を変えるための時間

地球30周分の水道管が一斉に老朽化を迎え、年間2万件を超える漏水事故が発生している現実を、あなたはどう受け止めるでしょうか?この人類史上類を見ない配管危機に対し、従来の手法では到底追いつきません。130年かかると試算される水道管更新をこのまま放置すれば、私たちの暮らす日本の社会インフラは崩壊の危機に直面します。

しかし、山形の小さな設備工事会社から生まれた「配管くん」を見てください。これは単なる技術革新を超えた歴史的意義を持っています。2011年の着想から7年間という長期にわたる研究開発を経て、立命館大学理工学部との産学連携によって実現されました。

この技術の真の価値は、単に配管を調査することにあるのではありません。インフラ整備の在り方そのものを根本から変える力を秘めています。事後対応から予防保全へ、推測による工事から正確なデータに基づく計画的メンテナンスへ——配管くんは次世代インフラ管理の新たなパラダイムとなりうると感じています。

そして、この成果が私たちに教えてくれる重要な真実があります。真のイノベーションは一朝一夕には生まれないということです。7年間という歳月は、決して長すぎる時間ではありません。基礎研究から応用技術への転換、理論から実用化への道のり——未知の未来を切り開く技術は、必ずこうした時間をかけた地道な積み重ねの上に花開きます。即座の成果を求めがちな現代社会において、配管くんの開発ストーリーは基礎研究の重要性と、長期的視野に立った技術開発の価値を改めて示しています。

立命館大学の研究室で培われた基礎技術が山形の現場で実際の課題と出会い、7年の歳月を経て世界初の実用化されました。短期的な利益や即効性ばかりを追求していては、決して生まれ得ない革新があることを配管くんは示しています

最後に。歴史の転換点というのは、いつも後世に生きる私たちの目線で語られます。例えば、今やコロナウィルスの検査の際に欠かせなかったPCR法は1983年にアメリカのベンチャー企業が生み出したものです。しかし、私たちの生活に差し迫るパンデミックが起こるまで私たちの多くは名前すら聞くことはありませんでした。もっと言えば今や誰しもがレーザー光を見たことがありますが、レーザー技術はアインシュタインが理論を完成させてから、実際にレーザーが作られてそれが技術として確立するまで50年以上の歳月が経っています。おそらく、当時生きていた人の中でレーザー技術やPCR法を「歴史や人の生き方を変えるテクノロジー」と思っていた方は少なかったと思います。
歴史はいつも結果論です。少し先の未来、「配管くんの日」が人類の歴史の中で重要な日として認識される時が来るのかもしれません。

【今日は何の日?】をinnovaTopiaでもっと読む

【information】
弘栄ドリームワークス公式HP( https://koeidreamworks.jp/ )
配管くんサービス紹介(https://koeidreamworks.jp/service/robot/)

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AI(人工知能)ニュース

Auterion「ストライクキット」:ウクライナAIドローン戦力とSkynode Sの革新

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Auterion「ストライクキット」:ウクライナAIドローン戦力とSkynode Sの革新 - innovaTopia - (イノベトピア)

米Auterionは、2025年7月下旬、ウクライナ向けにAI搭載ドローン用ストライクキット33,000個の供給を米国防総省と契約した。

本キットはSkynode S基板をベースに、電子妨害を受けにくい自律攻撃型無人航空機(UAV)への後付け改修を可能にする。

単価は1,000ドル前後。すでに約3,000台が現地で実戦投入済み。ウクライナは2024年に約200万機のドローンを生産し、2025年は最大400万機の製造を目指している。

ロシアもイランのShahed 136を元にしたGeran-2を国内生産し、大量配備体制を強化中。高度なAI自律化と大規模生産により、両国の無人機導入と対ドローン防衛の競争が加速している。

From: 文献リンクUS sends 33,000 smart ‘strike kits’ to make Ukrainian drones even deadlier

【編集部解説】

AuterionのAIストライクキット提供は、単なる新たな軍需契約にとどまらず、現代戦の構造変化を象徴しています。Skynode S基板はカスタムOSによるAIビジョンシステムを搭載し、人間のオペレーターの関与を最小化しつつ、高度なミッション遂行が可能です。通信途絶や強いジャミング下でも標的への誘導や自律攻撃を続けられる点が、従来ドローンとの大きな違いです。

背景には、ドローン戦力化が人的リスクの削減やコスト最適化といった現代戦の要請に直結していることがあります。AIと自律化が進むほど、戦場の判断・責任・倫理のあり方が変容し、国際的な規制や合意の必要性が一層高まるでしょう。一方で、制御の誤作動や誤認識といった技術的・倫理的な課題や、攻撃責任の所在の曖昧さも議論を呼んでいます。

今後は防衛分野だけでなく、産業自動化や災害対応など幅広い領域で同様の技術が利用・展開される可能性が高いです。単なる「兵器の進化」としてでなく、人類社会とテクノロジーの関係そのものの変化として、この潮流を見つめていきたいと考えています。

【用語解説】

ストライクキット
AIと制御基板・ソフトを組み合わせて従来ドローンに自律攻撃などの拡張機能を付与するUAV向けモジュール。

Skynode S
Auterion製、AIビジョンシステム搭載カスタムOSを組み込んだドローン用制御基板。

ジャミング
敵の通信や指令系統を乱す電子戦手法。周波数ホッピングや暗号化が主な対策技術。

ドローンスウォーム
多数のドローンを同時制御・共同運用する技術。飽和攻撃や高度なミッションに活用される。

FPVドローン
操縦者がリアルタイム映像を通じて操縦するドローン方式。

Geran-2
ロシア国内で生産される、イランShahed 136由来の長距離自爆型UAV。

Berloga
ロシアで子ども向けに展開される軍用ドローン訓練ゲーム。将来の人材育成目的で利用されている。

【参考リンク】

Auterion公式サイト(外部)
ドローンと無人ロボット向け制御ソフト・AI搭載コントローラを展開する企業公式サイト。技術・製品情報も豊富。

Skynode S製品ページ(外部)
AIや自律制御に対応したコントローラ「Skynode S」の公式紹介ページ。仕様や活用方法を掲載。

Geran-2生産関連記事(Reuters)
(外部)ロシアでのGeran-2ドローン生産や若年層動員の実態を伝える現地報道。

【参考記事】

Auterion to supply Ukraine with tens of thousands of AI drone strike kits(外部)
Skynode Sストライクキットの構造、大規模供給の意義や軍事利用の社会的影響を中立的に解説。

Auterion says it will provide Ukraine with 33,000 AI drone guidance kits(外部)
ウクライナ向けAIドローンキット供給契約や技術的背景、電子妨害対策について詳述した記事。

Play, build, deploy: Is Russia grooming kids for military …(外部)
ロシア国内での教育・ゲームを組み合わせた軍事技術人材育成の背景を多角的にレポート。

‘It’s Unprecedented’ – US-German Firm Shipping 33K AI-Powered …(外部)
米独Auterionとペンタゴンの大型契約、現地ドローン産業の相互補完性を示す解説記事。

【編集部後記】

AIや新世代ドローンが現実の戦場や社会でどんな影響を持つのか、みなさんはどう受け止めるでしょうか?

技術が進化するほど「人とテクノロジーの線引き」も変化していきます。innovaTopiaは、正解を押し付けるのではなく、みなさんと一緒に「どんな未来が望ましいのか」を問い続けていきたいと考えています。ぜひ感想やご意見もお聞かせください。

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