TenstorrentとLSTCは、2nm AIアクセラレータチップの開発に向けてパートナーシップを結んだ。この開発では、TenstorrentのRISC-V CPU技術とチップレット技術が活用され、LSTCのエッジAIアクセラレータの開発に貢献する。また、Rapidus Corp.がワーファープロセスと先進パッケージングの開発で協力している。Tenstorrentは日本に高性能コンピュートデザインセンターを開設し、日本の高性能コンピュート産業の発展を支援する。
TenstorrentはAIハードウェアの推論からトレーニングまでの処理を提供し、オープンソース技術とボトムアップアプローチを採用している。このアプローチにより、オープンなメタルスタックを実現し、高性能RISC-V CPUとAIの組み合わせによるコンピュートとアクセラレーションのバランスを重視している。また、IPとAIチップの提供により、顧客に柔軟な技術提供モデルを実現している。
TenstorrentはNvidiaと競合しており、AIアクセラレータボードを提供している。同社はRISC-Vコンピュートコアを使用し、AIに特化したチップを設計しており、ハイパフォーマンスRISC-V CPUは市場で最高の性能を持つとされている。HyundaiやSamsungとのパートナーシップを持ち、LGもAIテレビにTenstorrentの技術を検討している。Tenstorrentは資金調達を行い、400人以上のチームを持つ企業として成長している。
【ニュース解説】
Tenstorrentと日本のLeading-edge Semiconductor Technology Center(LSTC)が、2ナノメートルのAIアクセラレータチップの開発に向けてパートナーシップを結ぶことが発表されました。このプロジェクトは、AIの性能を飛躍的に向上させる新しい種類のハードウェアソリューションを目指しています。この取り組みには、Tenstorrentの高性能RISC-V CPU技術とチップレット技術が活用され、LSTCのエッジAIアクセラレータの開発に貢献することになります。さらに、新たに設立された日本の半導体企業であるRapidus Corp.も、ワーファープロセスと先進パッケージングの開発で協力しています。
このパートナーシップは、AIアプリケーションの増加するニーズに応えるため、TenstorrentとLSTCが共同でチップレットベースのエッジAIアクセラレータを開発するという、半導体業界における初のクロスオーガニゼーションチップレット開発の試みを表しています。この戦略は、両組織の集合的な能力を活用して、エッジでのAIアプリケーションのニーズに応えることを目指しています。
この取り組みの背景には、AI技術の急速な進化と、それに伴う高性能な計算能力への需要の増加があります。AIアクセラレータチップは、AIモデルの推論や学習を高速に行うために特化したチップで、従来の汎用CPUやGPUよりも効率的にAIタスクを処理できることが期待されています。2ナノメートルプロセス技術を用いることで、チップの小型化と消費電力の削減、さらには性能の向上が見込まれます。
このプロジェクトは、日本が高性能コンピュート設計の分野でのリーダーシップを再確立するための重要な一歩となります。Tenstorrentの専門知識とLSTCのビジョン、そしてRapidus Corporationのコミットメントにより、このベンチャーは日本におけるAIの未来を形作ることになるでしょう。
しかし、このような先進的な技術開発には、技術的な課題や市場での競争、さらにはセキュリティやプライバシーに関する懸念など、多くの課題が伴います。また、オープンソース技術とボトムアップアプローチの採用は、技術の透明性と柔軟性を高める一方で、標準化や互換性の問題を引き起こす可能性もあります。
長期的には、このようなAIアクセラレータチップの開発は、スマートシティ、自動運転車、医療診断など、さまざまな分野でのAIアプリケーションの実現を加速させることに貢献するでしょう。また、エネルギー効率の良い計算能力の提供により、環境への影響を低減することも期待されます。このプロジェクトは、AI技術の未来に向けた大きな一歩であり、その進展は世界中の技術者や研究者、さらには一般の人々にとっても大きな関心事となるでしょう。
from Tenstorrent partners with Japan’s LSTC to create 2nm AI accelerator chips.