チリは2026年2月10日、Centro Nacional de Inteligencia Artificial(CENIA)が開発したオープンソースAIモデル「Latam-GPT」を公開する。8TB超のデータで学習し、開発費はUS$550,000で、資金はDevelopment Bank of Latin America(CAF)とCENIAによる。
初版はAmazon Web Servicesのクラウドで開発され、将来はUniversity of Tarapacáのスーパーコンピューターで学習予定で、企業と公的機関に無償提供する。
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Latam-GPT: a Latin American AI to combat US-centric bias
【編集部解説】
Latam-GPTの論点は「新しいチャット体験」よりも、ラテンアメリカの言語・文化に寄せたアプリケーションを作るための“基盤となるモデル”を、オープンソースとして整備する点にあります。
大規模言語モデルは、学習データの構成比がそのまま出力の傾向に影響しやすく、地域データが少ないとステレオタイプが混ざりやすい、という問題意識が記事内で示されています。オープンモデルであることは、用途ごとに“直したいところを直す”余地を作ります。
企業・公的機関への無償提供や、病院の物流・医療資源の利用といった例が挙げられており、現場実装を強く意識した設計だと読み取れます。
一方で、チリ大学のアレハンドロ・バロスは「主要モデルと競争する見込みはない」と述べており、狙いは“世界一の汎用モデル”ではなく“地域特化の実用性”に置かれています。
また、地域内で開発・運用の経験を積むことは、AIの安全基準や公共利用のルールづくりを「使う側」だけの議論にしないための下地にもなります。
ただし、オープンであるほど悪用耐性や運用ガバナンスが重要になり、「偏りを減らす」狙いが別の偏りを生む可能性もあります。
【用語解説】
オープンソース(オープンモデル)
プログラマーが用途に合わせ、モデルやソフトの一部をカスタマイズできる形のモデルを指す。
クローズドな生成モデル
ChatGPTやGoogleのGeminiのように、提供側の枠組みの中で利用することが前提の生成AIを指す。
学習データ(トレーニングデータ)
モデルが言語の傾向を学ぶために使うデータで、地域データの比率が小さいと出力の偏りに影響する。
バイアス(偏り)/ステレオタイプ
特定地域が画一的に描写される問題を指し、Latam-GPTはその是正を目的の一つに据える。
スラング/慣用句
地域特有の言い回しで、カスタマーサービス用途などで理解できることが価値になる要素だ。
【参考リンク】
CENIA(Centro Nacional de Inteligencia Artificial)(外部)
Latam-GPTを開発したCENIAの公式サイト。研究活動や発表情報を確認できる。
Latam-GPT(外部)
Latam-GPTの公式Webサイト。プロジェクト概要や関連情報への導線がまとまる。
【参考動画】
【参考記事】
AP News:Chile launches open-source AI model designed for Latin America(外部)
チリ発のLatam-GPTを、地域向けオープンソースAIモデルとして報じる。
Reuters:Latin American countries to launch own AI model in September(外部)
ラテンアメリカ諸国が独自AIモデル開発に動く流れを伝え、背景を補う。
WIRED:Latam-GPT: Meet the Open Source AI of Latin America(外部)
Latam-GPTを協働型オープンソースの地域AIとして紹介し、文脈を解説する。
CENIA:Latam-GPT公式発表(スペイン語)(外部)
CENIAによる公式記事。Latam-GPTの位置づけや関係機関の説明が読める。
【編集部後記】
Latam-GPTの話は、AIの“性能競争”よりも「どの文化や言葉がAIに映るのか」という問いに近い気がしています。もしみなさんの現場で、方言・業界用語・価値観のズレが原因でAIの回答に違和感が出た経験があれば、どんな場面だったか教えてください。

