KDDIおよび沖縄セルラー電話は、京セラ製の5G対応スマートフォン「TORQUE G07」をau限定で2026年3月18日に発売する。予約受付は2月25日午前10時に開始した。
本機は防水・防塵・耐衝撃に加え、新たに耐泥水に対応し、京セラ独自試験16項目と米国軍用規格MIL-STD-810Hの21項目、計37項目の耐久試験をクリアした。TORQUEシリーズとして初めて、衛星とスマートフォンの直接通信サービス「au Starlink Direct」のデータ通信に対応する。
一部アンテナを上方向の特性に変更し、受信レベルの高いアンテナを自動選択して送信する技術を搭載した。カメラセンサーを大型化し暗所性能を向上させたほか、「フレームイン録画」「影消し」など4つのAIカメラ機能を備える。電池パックは取り外し・交換が可能である。個装パッケージではプラスチックを全廃した。
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防水・防塵・耐衝撃に耐泥水を追加、シリーズ最高耐久性の「TORQUE® G07」をauから3月18日に発売 | KDDI News Room
【編集部解説】
今回のTORQUE G07は、京セラが2023年に個人向けスマートフォン事業から撤退した後も、KDDIとの協業でTORQUEブランドだけは存続させるという異例の体制から生まれた製品です。スマートフォン市場が均質化する中で、「耐久性」という独自軸に特化し続ける姿勢は、ニッチ戦略の一つの到達点といえます。
技術面で注目すべきは、衛星通信への対応です。KDDIが2025年4月に日本初のスマートフォン直接衛星通信サービスとして開始した「au Starlink Direct」は、2026年2月時点で接続ユーザー数が約350万人、対応機種は80機種・1,000万台超に達しています。TORQUE G07では、アンテナの一部を上方向の特性に変更し、受信レベルの高いアンテナを自動選択する技術を搭載しました。これにより、山岳地帯や海上といったTORQUEの主要な利用シーンにおいて、衛星通信の安定性を高めることが期待されます。
ハードウェアとしては、SoCにSnapdragon 7 Gen 4を採用し、前モデルG06のSnapdragon 7 Gen 1から大幅に世代が進みました。5.4インチ有機ELディスプレイ、RAM 8GB、ストレージ128GB、Android 16プリインストールという構成になっています。カメラのメインセンサーは1/2インチから1/1.55インチへ大型化され、約5,000万画素の広角・超広角に約500万画素のマクロを加えたトリプルカメラ構成となりました。
耐久性では、前モデルG06の29項目から37項目へ試験数を拡大しています。新たに耐泥水試験が加わったほか、耐海水の水深が従来の約2mから約5mへ引き上げられました。背面カバーにスリット構造を採用し、泥水が付着しても水で洗い流せる設計になっています。
着脱式バッテリー(4,585mAh)の継続採用も見逃せないポイントです。現在のスマートフォンでは極めて珍しい仕様ですが、登山や建設現場など電源確保が困難な環境では実用的な価値があります。前モデルG06の電池パックや充電器との互換性を維持している点も、長期利用を前提としたユーザーにとって安心材料となります。
より広い視点で見ると、2026年は衛星直接通信の競争が本格化する年です。NTTドコモとソフトバンクも同様のサービス開始を予告しており、楽天モバイルはAST SpaceMobileとの提携で2026年第4四半期にビデオ通話対応の衛星サービスを予定しています。この流れの中で、タフネス端末と衛星通信の組み合わせは、アウトドアや防災、建設・林業といったフィールドワーク領域での「圏外ゼロ」実現に向けた具体的な一歩となります。
一方で、衛星通信はまだ発展途上の技術です。現時点でau Starlink Directが対応するのはテキストメッセージと19種類の対応アプリでのデータ通信が中心であり、音声通話には未対応です。通信速度も地上の4G/5Gとは比較にならないため、過度な期待は禁物でしょう。
環境面では、個装パッケージからプラスチックを全廃した点も記録に値します。着脱式バッテリーによる端末寿命の延長は、電子廃棄物の削減にも寄与する設計思想といえます。
【用語解説】
MIL-STD-810H
米国国防総省が定める装備品の環境耐久性試験規格。高温・低温・振動・落下・砂塵・湿度など過酷な条件下での動作を検証するもので、民生品がこの基準を通過していることは軍用グレードの耐久性を意味する。
Snapdragon 7 Gen 4
Qualcommが開発したモバイル向けSoC(システム・オン・チップ)。ミドルハイクラスに位置し、前世代の7 Gen 1と比較してシングルコア性能で約1.3倍、マルチコア性能で約1.4〜1.5倍の向上が見込まれる。
Sub6
5G通信で使われる6GHz以下の周波数帯の総称。ミリ波と比較してカバーエリアが広く、建物内への浸透性に優れるため、日本国内の5Gサービスの主力帯域として利用されている。
【参考リンク】
京セラ株式会社 ニュースルーム — 「TORQUE G07」がauから新登場(外部)
京セラによる公式リリース。新バンパー構造で衝撃力約10%低減など、メーカー視点の技術詳細を掲載。
au公式 TORQUE G07 製品ページ(外部)
スペック、カラーバリエーション、購入・予約情報をまとめたau公式の製品紹介ページ。
au Starlink Direct サービスページ(外部)
衛星直接通信サービスの対応機種、利用可能な機能、対応アプリ一覧、エリア、料金を掲載。
TORQUE STYLE(京セラ公式コミュニティ)(外部)
TORQUEユーザー向けコミュニティ。G07発売記念キャンペーンの応募窓口としても機能している。
【参考記事】
京セラとKDDIが新スマホ「TORQUE G07」を発表。スペック競争とは一線を画すニッチな立ち位置(外部)
耐久試験の進化推移(G01の11項目→G06の29項目→G07の37項目)や「TORQUE 2.0」構想の経緯を報じた詳報。
au Starlink Direct|MM総研大賞 受賞製品・サービス(外部)
Starlink衛星約600基打ち上げ済み、1日約4万人接続、auの国土面積カバー率約60%などの実績データを掲載。
“空が見えれば、どこでもつながる。” au Starlink Directが開く通信の未来(外部)
au Starlink Directが「世界3番目、アジア初」の商用化であること、GW期間中に約4万人が利用した経緯を取材。
au、衛星通信に対応した5.4型タフネススマホ「TORQUE G07」 — 価格.com(外部)
Snapdragon 7 Gen 4、RAM 8GB、4,585mAh、75×157×14.6mm、243gなどの数値スペックを網羅した詳報。
新型「TORQUE G07」の実力は?Snapdragon 7 Gen 4搭載でG06からどこまで進化したのか(外部)
前モデルG06との性能比較。シングルコア約1.3倍、マルチコア約1.4〜1.5倍の向上が見込まれると分析。
【編集部後記】
スマートフォンの進化というと、カメラやAIの性能に目が向きがちですが、「どこでもつながる」「どんな環境でも壊れない」という方向の進化も、私たちの行動範囲を広げてくれる大切な要素ではないでしょうか。みなさんは日常や仕事の中で「ここで通信できたら」と感じた経験はありますか。衛星通信やタフネス端末がその課題にどう応えていくのか、一緒に見守っていけたらうれしいです。

