Pepper+が東急「relark伊豆高原」に導入、AI接客エージェントで観光案内を初展開

ソフトバンクロボティクス株式会社は2026年6月18日、東急株式会社が2026年7月11日に開業予定の「relark伊豆高原」へ人型ロボット「Pepper+」を導入すると発表した。relark伊豆高原は東急が展開するリラックスワークラウンジ「relark」の第5号店で、伊豆急行線・伊豆高原駅直結のやまもプラザ1階に開業する。

営業時間は10時から17時、座席数は55席。同施設は伊東市と東急が締結した「コワーキング機能を有する交流拠点に関する連携協定」に基づき整備される。Pepper+は日本語・英語・中国語・韓国語に対応し、「施設案内」と「観光案内」の2つの役割を担う。観光案内では生成AIと搭載カメラを用いる「AI接客エージェント」を活用する。同社によると、Pepper+のAI接客エージェントを活用した観光案内の提供は導入施設で初の取り組みである。

From: 文献リンク東急「relark伊豆高原」にPepper+を導入、「AI接客エージェント」を活用した観光案内を初展開 | ソフトバンクロボティクス株式会社

【編集部解説】

今回のニュースは「ロボットが伊豆高原の観光拠点に導入される」という一文に収まりそうですが、私たちが注目したいのはその一歩奥にある変化です。Pepper+が担うのは単なる受付ではなく、生成AIとカメラを使って相手を見極め、声をかけ、行動を促す「AI接客エージェント」だという点にあります。なお、導入先は観光案内所そのものではなく、ワークラウンジ「relark伊豆高原」です。

そもそもPepper+は、2026年2月2日に発表されたPepperの新型モデルです。初代Pepperは「世界初の量産型ヒューマノイド」としてギネス世界記録に認定されており、約11年を経て中身がAIエージェントへと大きく作り替えられました。胸のタブレットも刷新され、用途ごとのアプリを載せやすくなっています。

その中核機能であるAI接客エージェントは、販促支援を手がけるKODEKAが接客コミュニケーション術や接客設計を監修する形で開発されました。プロの実演販売士の話術をAIで再現し、搭載カメラで来訪者の服装や特徴、属性・状況を把握して、それに応じて声をかける、という設計です。これまで主戦場は小売店頭でしたが、今回それが「観光案内」という公共性の高い場へ踏み出しました。

なぜ観光案内なのか。背景には、地域の交流施設や案内拠点が抱える人員上の制約があります。ソフトバンクロボティクスは、国内外から訪れる多様な来訪者へ質の高い接客を「限られた人員で実現すること」を課題として挙げています。4言語(日本語・英語・中国語・韓国語)の案内をスタッフを増やさずに成立させる現実解として、AIロボットが選ばれたわけです。

ここで効いてくるのが、立地の文脈です。relark伊豆高原は伊東市と東急が結んだ連携協定に基づく拠点で、Pepper+は「先進技術の実証・実装」の一環として導入されます。つまり単発の話題づくりではなく、地方自治体ぐるみで新技術を試す実験場という位置づけなのです。

技術面で踏み込んでおきたいのは、「属性・状況の把握」という表現です。カメラで相手の特徴を読み取り、その人に合わせて提案を変えるということは、裏を返せば来訪者の外見データを推定・利用していることを意味します。利便性と引き換えに、誰がどこまでのデータを扱うのかという論点は、観光案内という不特定多数が行き交う場では特に丁寧な説明が求められるでしょう。

それでも、この取り組みが示す方向性は前向きです。地方の小さな駅前拠点でも、人を増やさずに多言語・高品質の案内を成立させられるなら、過疎やインバウンド対応に悩む各地への横展開が見えてきます。観光地のロボットが「珍しい置物」から「役に立つ案内役」へと評価を変える転換点になるかもしれません。

長期的には、ここで蓄積される対話データと運用ノウハウが資産になり得る——これは公式発表に明記された計画ではなく、あくまで私たち編集部の見立てです。小売で磨いた「売る技術」を、地域の魅力を「伝える技術」へどう翻訳するか。relark伊豆高原という一店舗の挑戦は、人とAIロボットの接点を設計し直す、その最初の実地テストとして読み解けます。

【用語解説】

Pepper+(ペッパープラス)
ソフトバンクロボティクスが2026年2月2日に提供を始めた人型ロボットPepperの新型モデル。初代の親しみやすい外見はそのままに、生成AIによる対話機能と映像分析技術を標準搭載し、胸のタブレットも刷新された。観光・医療・介護など幅広い現場での活用を見込む。

AI接客エージェント
Pepper+に搭載された機能の一つ。搭載カメラで来訪者の服装や特徴、属性・状況を把握し、自然な声かけから対話、提案までを行う。販促支援会社のKODEKAが、プロの実演販売士の話術をAIで再現する形で監修している。これまで主に小売店頭で使われてきた。

relark(リラーク)
東急が個人利用者向けに運営するリラックスワークラウンジ。「心地よく、働く。」をコンセプトに、仕事・勉強・休息に使える有人型の空間を提供する。2021年4月開業のたまプラーザ店を皮切りに展開しており、relark伊豆高原はその第5号店にあたる。

生成AI
入力に応じて文章や画像などを新たに作り出すAIの総称。Pepper+の場合、定型の応答ではなく、来訪者ごとに自然な対話文を生成して案内に用いる点が従来型ロボットとの違いである。

コワーキング機能を有する交流拠点に関する連携協定
relark伊豆高原の整備の前提となった、伊東市と東急が締結した協定。地域の交流とテレワーク環境の整備を目的とし、本施設はこの協定に基づく拠点として開設される。

【参考リンク】

人型ロボット Pepper+(ペッパープラス)(外部)
Pepper+の機能・料金・活用シーンをまとめた公式製品ページ。搭載アプリの概要も確認できる。

AI接客エージェント | Pepper+ 機能ページ(外部)
カメラによる声かけや実演販売式の提案など、AI接客エージェントの仕組みを解説する公式ページ。

東急株式会社(外部)
relark伊豆高原を開業する東急の公式サイト。まちづくりを根幹に多様な事業を展開する中核企業である。

株式会社KODEKA(外部)
Pepper+のAI接客コミュニケーション設計を監修した販促専門会社。実演販売の話術を応用した施策を手がける。

relark(リラーク)公式サイト(外部)
東急が運営するワークラウンジrelarkの公式サイト。各店舗の料金プランや利用方法を確認できる。

【参考記事】

AI搭載新型「Pepper+」突如発表 “人の心をつかんで動かす” ロボットに進化(外部)
2026年2月2日のPepper+発表を報道。初代Pepperのギネス世界記録認定と新型の進化点を伝える。

ソフトバンクG、ヒト型ロボ「ペッパー」新機種 AIエージェント搭載(外部)
KODEKAとの連携や、月額7万9800円からという利用料金など事業面を報じる記事。

AI搭載ペッパー君「Pepper+」をソフトバンクが発表(外部)
頭部のカメラやセンサー構成など、Pepper+のハード面を詳述した記事。

生きとったんかワレ! ソフトバンクG、新型「Pepper」発売 AIエージェント実装(外部)
AI接客エージェントや即興カメラマンなど、搭載アプリの幅広さを伝える記事。

【編集部後記】

旅先で道に迷ったとき、近くにいたロボットが自然に声をかけてくれたら、みなさんはどう感じるでしょうか。今回の伊豆高原での試みは、ロボットが「珍しい存在」から「頼れる案内役」へと変わる入口かもしれません。

便利さに心が躍る一方で、自分の姿をカメラに見られることへのためらいもあるはずです。その両方の気持ちは、どちらも大切な感覚だと私たちは思っています。もし伊豆高原を訪れる機会があれば、Pepper+にぜひ話しかけてみてください。その体験こそが、未来に触れる第一歩になるはずです。


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