株式会社NTTデータビジネスシステムズ(本社:東京都豊島区、代表取締役社長:福西克文)は、2026年6月9日、生成AIサービス「imforce ASK Note™」を2026年6月より提供開始すると発表した。社内外に分散する過去資料や関連情報を取り込み、参照元となる根拠を確認できる形で整理・検索する個人/組織単位のRAG環境を構築し、論点整理から構成案作成、資料のたたき台生成までを同一画面で支援する。
取り込み対象はPDF、Officeファイル、テキスト、データファイル、音声、動画、Web URL等で、出力形式はPowerPointである。提供形態は月額定額制(50ユーザー単位)、契約期間は6か月ごとの自動更新である。本サービスはMicrosoftのAzure OpenAI Service上に構築され、開発にはアクロクエストテクノロジー株式会社が技術検討・機能設計・検証で参画した。「imforce ASK Note™」は2026年6月現在、商標出願中である。
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【ニュースリリース】情報収集・整理からアウトプット生成まで支援する生成AI 「imforce ASK Note™」を提供開始|株式会社NTTデータビジネスシステムズ
【編集部解説】
まず押さえておきたいのは、このサービスが「生成AIで文章をつくる」だけのツールではない、という点です。提案書や報告書づくりの本当の負担は、書く作業そのものより、その前段にある「過去資料を探し、読み、論点を組み立てる」工程に集中しています。imforce ASK Note™は、この“地味だが時間を食う前工程”ごと自動化しようとしているところに特徴があります。
技術的な核になっているのはRAG(検索拡張生成)です。これは生成AIが回答を作る前に、あらかじめ取り込んだ社内資料から関連情報を検索し、その内容を根拠として参照しながら出力する仕組みを指します。生成AIにつきまとう「もっともらしい嘘(ハルシネーション)」を抑え、出力に根拠をひもづけられる点が、企業利用で重視されてきました。
本サービスの開発で技術検討・機能設計・検証に参画したアクロクエストテクノロジーは、まさにこのRAG領域に関連する製品群を展開する企業です。同社は法人向け生成AIアシスタント「AcroChatAI」や、Box内文書をAWSへ連携する「DocCollector」を提供し、日本語特有の検索精度の課題に対応する「日本語検索強化パック」も用意しています。NTTデータビジネスシステムズの業務システム基盤と、アクロクエストの検索・RAG技術が組み合わさった座組みだと理解すると、製品の狙いが見えやすくなります。
何ができるようになるのか。ユーザーは散在する資料を取り込むだけで、自分専用または部署専用の「根拠付き知識データベース」を即座に持てます。そこから論点整理・構成案・たたき台までを同じ画面で進め、最終的にPowerPoint形式で書き出せる。つまり「探す→考える→形にする」の分断を一本につなぐ点が、既存の社内チャットボット型AIとの違いです。
ポジティブな側面は明確です。属人化しがちだった「考える工程」を仕組み化することで、担当者ごとの品質のばらつきや、レビューでの手戻りを減らせる可能性があります。日本企業の根深い課題である資料作成の非効率に、正面から切り込む設計だといえます。
一方で、潜在的なリスクも冷静に見ておく必要があります。RAGは根拠を示せる仕組みですが、取り込んだ元資料が古かったり誤っていたりすれば、AIはその誤りを「根拠付き」で再生産してしまいます。出力の正しさは、結局のところ取り込むデータの質に左右されます。本サービスが生成物をユーザー自身で表現やレイアウトを調整して仕上げる前提に立っているのは、この限界を踏まえた現実的な線引きだと読めます。
ガバナンス面は、企業導入で最大の関門になりがちなポイントです。本サービスはMicrosoftのAzure OpenAI Service上に構築され、取り込んだデータは顧客環境内でクローズドに管理され、自社AIの学習にも基盤モデルの学習にも使われないと明示されています。社内の機密情報を扱う前提では、この「学習に使わない」という約束が導入判断の決め手になります。
将来的な視点では、こうした「業務に溶け込む形のRAG型AI」が、汎用チャットAIとは別の市場として定着していく流れの一例と捉えられます。NTTデータグループ全体が「AIネイティブ開発」など生成AIの本格活用へ舵を切るなか、本サービスは知識労働の現場側を担うピースだといえるでしょう。AIが“賢い検索窓”から“成果物を一緒に組み立てる相棒”へと役割を移していく——その移行を、業務文書という最も身近な領域で体感できるサービスとして注目しておきたいところです。
【用語解説】
生成AI
文章や画像などを自動でつくり出すAIの総称。本サービスでは、取り込んだ資料をもとに論点整理から資料のたたき台生成までを担う部分にあたる。
RAG(Retrieval Augmented Generation/検索拡張生成)
AIが文章を生成する前に、あらかじめ取り込んだ資料から必要な情報を検索し、その内容を根拠として参照しながら出力する仕組み。事実に基づかない「もっともらしい誤り(ハルシネーション)」を抑えやすく、出力に根拠をひもづけられる点が企業利用で重視されている。
ハルシネーション
AIが事実ではない内容を、あたかも正しいかのように出力してしまう現象。RAGはこの問題を軽減する技術として注目されている。
Azure OpenAI Service
Microsoftが提供する、企業向けにセキュアな環境でOpenAIの生成AIモデルを利用できるクラウドサービス。本サービスの基盤として使われている。
月額定額制(50ユーザー単位)
利用人数を50人ひとまとまりとして課金する料金体系。本サービスの提供形態であり、契約は6か月ごとに自動更新される。
【参考リンク】
imforce ASK Note™ サービス紹介ページ|NTTデータビジネスシステムズ(外部)
本サービスの公式紹介ページ。サービスの位置づけや機能概要を確認できる。
株式会社NTTデータビジネスシステムズ コーポレートサイト(外部)
サービスを提供する企業の公式サイト。会社概要やソリューション全体像を確認できる。
アクロクエストテクノロジー AI/生成AIソリューション(外部)
共同開発を担った企業の生成AI事業ページ。RAGやAIアシスタントの技術的な強みを確認できる。
Azure OpenAI Service|Microsoft(外部)
本サービスの基盤となるMicrosoftのクラウドAIサービスの公式ページ。
【参考記事】
企業データ×生成AI!アクロクエストの DocCollector と Amazon Bedrock で実現する Box 内データ活用|AWS ブログ(外部)
共同開発企業アクロクエストのRAG技術を解説したAWS公式ブログ。DocCollectorがBox内文書を権限保持のままAWSに同期する仕組みを紹介する。
AcroChatAI|法人向け生成AIアシスタント|アクロクエストテクノロジー(外部)
アクロクエストの企業向け生成AIアシスタント製品ページ。RAGや日本語検索強化など、今回の共同開発企業の技術的蓄積を示す。
生成AIがシステム丸ごと開発 NTTデータ、IT人材不足に抜本策|日本経済新聞(外部)
NTTデータグループが2026年度中にシステム開発をほぼ生成AIが担う技術を導入すると報じた記事。グループの生成AI活用の潮流を示す。
NTTデータビジネスシステムズ、新ビジネスブランド「imforce」によるオファリングビジネスを本格始動|日本経済新聞(外部)
2025年に「imforce」ブランドを掲げ共創型オファリングへ移行したことを報じた記事。本サービスのブランド戦略上の位置づけを把握できる。
【編集部後記】
資料づくりに追われていると、「書く」より「探す・読む・組み立てる」時間のほうが長いと感じること、ありませんか。今回のサービスは、その地味な前工程にAIを差し向ける発想でした。
みなさんの仕事のなかで、いちばん時間を奪われている「考える前の準備」はどこでしょう。もしそこをAIに任せられたら、空いた時間で何をしてみたいか——少しだけ想像してみると、この技術の手触りがぐっと近づくかもしれません。一緒に考えていけたら嬉しいです。